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不完全な真実・シーズン10(完結)

完結したと言っても、気が向いたら普通に書き直したり、差し替えたりはすると思います。途中から小見出し付けた方が読みやすいなってなったので、できれば他の者もそういう形式に変えたいし、頑張って書きはしたもののうまく面白味を出せなかったので加筆・差し替えしたいものもあるし、あとどうしても上から順番に読まれがちなので、その点でも初手にはもう少し「何をやりたい作品なのか分かりやすい奴」に並び替えたい、とかもある。

■計算資源戦争
「カタカタ、ッターン!」のハッカー像は今時どうなのか、という話が起点。で、根本的なマシンパワーこそがハッカーの能力、で、だから人を自分のハッキングのための分散コンピューティングに参加させる「人集めの才能」があるヤツが実質最強のハッカー、みたいな変な理論で進んでいくテクノスリラーを想定していたのだが、あまり現実とかけ離れても何なので(自分はハッカーじゃないし)、スチームパンク系という理由をつけて、異世界コンピュータということにしてみた。

■郵便ポストと二階のベランダ
起点は『BTTF』。近過去を舞台にしたノスタルジーを目的とした青春物語(あれは80年代から見た50年代)の舞台、一昔前ならば80年代であろうと思っていたが、今ならば90年代だろう。いや、もう00年代かも。ともかく、ノスタルジックな青春譚として「深夜ラジオ」という舞台設定はいいよな、と思ったわけです。『ohデカ』からだけどずっと伊集院さん追っかけてきた人間なので。個人的にタイトルは過去イチ好きかもしれない。

■鈴の音
当初は全然違う話を予定していたが、全然転がらなくて唸っているうちに、ちょうどスティーブン・キングの話がちらりと浮かんだので、ホラーをネタにして。ホラーというジャンルの「分からないから怖い」と「書けば書くほど情報量が増える」という矛盾についての話。

■フランケンシュタインの花嫁
タイトル先行で、花嫁が怪物を探して旅をする「永生者の孤独」モノを想定していたが、最後北極なんだよなあ、そういえば当時北極探検ってどういう感じだったんだ、みたいなところから「北極で怪物がひっそり暮らしてたら」を連想し、「北極の秘密基地なら『孤独の要塞』だよな」となって、フィクションで語る歴史、という大好きなパターンになった。

■侵略言語
まんま『バベル17』から『虐殺器官』という系譜の作品、というのが起点。で、そのまんま思考を支配する言語、という形だと前述の作品のままなので、何かプラス1しないとだよなあと思い、「バベル18」に相当する言語で人間の思考回路が一次元上になるなら、それ(人間が高次存在になる)って『幼年期の終わり』じゃないの、となったので侵略言語が実は「神の言語」だ、みたいな方向の接続があればプラス1されてんじゃない、みたいに考えた。普段のネタは「思いつかないところは書評だから触れてない」という形ですっ飛ばしているけれども、本作は(アイデアそのものは)ちゃんとオチまで成立している地味に珍しい話だったりする。

■モンテ・クリスト
『モンテ・クリスト伯』の現代版、みたいのは普通に書こうとしていた奴。復讐モノって、やっぱり面白いんですよね。金、権力、名声。そして復讐と愛。普通に書きたいネタについて、普通に感想書いただけなので、アイデア的には普通です。

■烏丸呪殺事務所の日常業務について
元々、殺し屋系の話として、呪い殺し専門の殺し屋ってアイデアがあって。で、単純にオカルトが公然ないし秘密裏に実在している世界だと『GS美神』みたいな拝み屋の話になっちゃうので、もっと「殺し専門」感を出したいなと、呪殺を『新興収去オモイデ教』系の毒電波とか『呪街』の呪いみたいな「独特のルールがある超能力」として定義して、みたいなことを考えていたわけですが、今やると絶妙にオカルトっぽくない感じを含めて『呪術廻戦』になっちゃうんですよね。渡辺機関云々は、雑な付け足しで、設定的には渡辺綱を始祖とする「鬼」退治の専門家としての呪殺部隊、みたいな感じで。折角の90年代毒電波系ガジェットに伝奇混ぜちゃう味わいの変化、みたいなところをイメージしてほしい。

■ラウンド・ブリリアント
ミステリもホラーも本質的な物語としてのフレームは同じだよね、的な構造主義の悪いトコロを前面に押し出した感じの奴。ガチガチのメタ物語やる時に出てくるモニカ・キャンベルさん。いや、構造主義って本質的に箇条書きマジックじゃないですか。前も言った気がするなこの話。ともかく、基本の物語構造というダイヤモンドはどんなジャンルにカットしても輝くし、なんなら色んなジャンルでカットするほど輝くよね、ということでブリリアントカットなタイトルに。ジャンルの「インダストリアル文学」「ミュージカル小説」「シューティング喜劇」辺りは自分でもどんなジャンルだかよく分からないです。

■転生教室 異世界に飛んだ学校で僕だけがチートスキルを授かった件
本当は、ラス前らしくメタいものを扱おうと思っていました。たとえば自分が書いた作品で既に公開済みの『蛍雪女学院第二文芸部』とかを。でも、なんかうまくいかなくて、結果的に出てきたものは「駄作がメタ情報によって変にバズる」という前にも書いたネタっぽくなったのだけれど、実は発想というか、属性的なものは全然違って、これは自分が初めて最後まで書いた(完結した、とは言えないぐらい、最後の方は文章の体を成していなかった)小説が自分を慰めるための自分の経験の物語化だった辺りに起因する、一種の自己言及で。だから、表面的には99番目に相応しくないんだけど、内側の部分で99番目らしいものだったりする。

■不完全な真空
最後は自分自身に言及して、ループ構造になるよね、という話。本当は、他99編を全部コピペすることでループ性を出そうとしていたのだが、それはちょっと色々とアレだな、ってことで止めた。

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