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不完全な真空・シーズン5

■トーキョー・レイザーエッジ サイバー隠し剣
最初のイメージは『隠し剣』シリーズを、別ジャンルでやろうという話。「皇帝暗殺」で一回やってるけど。で、ジャンルとしてピーター・トライアスっぽいオルタナティブ近未来日本を想定。合体させて「サイバー隠し剣」という発想になり、サイバーパンクの「盗み出した情報の争奪戦」という王道プロットが、ジャンル的に隠し剣と同類の『秘太刀馬の骨』とカブるな、となって、「これって、秘伝書争奪戦ネタでは?」で武侠っぽいなとなり、でも武侠知識がないんで水滸伝でイメージしたら魔星が入るのとダウンロードが重なって、結果「秘伝をダウンロードした武術家ヤクザによる秘伝争奪戦」という話に。発想中は捻ってるんだけど、完成品はあんまり捻ってない感じ。武術ダウンロードで戦うってのは、ちょっとニンジャソウル憑依者っぽくて気に入っている。

■近代/現代魔術実践概論
ビジネス雑誌の書評で、大真面目に魔術を実践しようと書いてある、というネタが起点。で、真面目に近代魔術について考えたり、そもそも自己啓発とかニューエイジ系の発想だよなとか考えていったら、なんか普通に「魔術って大仰に言ってる、普通の自己啓発本」みたいな想定になったりした。魔術についてはうろ覚えかつ素人なので、実践家の人から見たら違うところがあろうとも思いますが、まあ、そういう世界で作られた本だ、という設定ということでお願いしたい。ジャンルもの全般、そういう目で見ていただきたい。

■ウィリアム・カッパーフィールド インタビュー
まさに書評に書いたとおりの、「作中に出てくるアートの作り手としてカリスマになってる登場人物」のインタビューとか、絶対引用の魔術が解けちゃって台無しだよね、というのが着想。で、本来は台無しぶりをこき下ろす書評になる予定だったのだが、悪口が下手なのでうまく書けず、なんかうまく誤魔化せたという設定になった。具体的な誤魔化すテクがなくても、誤魔化してる、と書けばそうなるのが、架空書評形式のいいところ。

■孤狼 弾痕の行方
無道は『無限街 獏の刻印』の作者という設定でも出てきた再登場作家。無限街は伝奇系だったけど、こっちはハードボイルドな暗黒小説寄りの作家で、無道さんジャンルなんでも書くなあ。アイデアの核は「長期連載物+現代舞台かつ描写がリアリティ寄りだと大変」という辺り。あと『シティーハンター』が好きなので、新しい映画とかでその辺のことをいろいろ思ったりもしたのもある。現代社会云々のところは、なんかそれっぽい事を書いているだけなので、はい。

■ヒーローで語る戦後史
サブカルをネタに雑語りする書評が大嫌いシリーズ第三段。これが最後の予定。ヒーローをウルトラとライダーと戦隊だけで語るなよ、みたいなのは、そこまで拘りがあるわけではない(特撮ジャンルは全然なので)が、それはそれとしてメタルヒーローとか『グリッドマン』辺りには強い思い入れがあったりするのでして。

■サルでもわかるARタギング
元々は、サイバーパンクより現代に寄せたテクノスリラーとして、人間自体にソーシャルブックマークできるアプリができて、そいつに風評被害を受けまくる男の話とかを考えていた(書く予定の話として)。で、そういえば(人間へのタグ付けはできないけど)拡張現実+ソーシャルブックマークの『セカイカメラ』があるじゃん、ってなって、既にアイデアの実装まで言ってるヤツでテクノスリラーもないよな、となると、「まだ実現していないテクノロジーの解説本」のスタイルの方がいいかなあ、となった。知らない人に解説する、という体裁で、一番語りたい部分である拡張現実ブックマークのテクノロジーとその危険性(=恐怖)について書けてしまうので。

■白い雪山、眠る竜
ジョン・C・クラマ―は、『冬寂の星』で出てきた名前。というか、そう言ってないだけで、まんま『冬寂の星』の外伝短編集という想定。近況ノートで『冬寂の星』について書いた時の「森林にいる聖女と魔女の二重人格とか、帝都中央の亡者の軍団とか、眠れる竜とか、曇天の空のせいで空を飛べなくなった飛行艇の船長とか」の話だ。ただ、飛行艇はゲームとして実装を想定していた頃の世界設定だとアリだったのだが、架空小説として設定した雰囲気だと無い感じなので船になったが。

■クォート・パッチワーク
『デッドコピー・ジャーニー』で出てきたモニカ・キャンベルさん。今回、再生怪人多いな。怪人言うな。で、引用でできてるけど、引用でできてる「だけ」だよね、という作品を提示することで、逆説的に引用をするということは、言葉という部品を余所から持ってくる以上の意味がある(べきだ)という話をしたかったのだ。まあ、逆に引用しているだけで、勝手に文脈が生えてくる、とかって側面もあるとも思うんだけれども。あ、最近気に入った引用と文脈は、『ガンダムビルドダイバーズRe:RISE』で、スターゲイザーの文脈を乗せることで、戦闘無し+Aパートのみでお役御免でありながら、そうあるべきという説得力を高めたネプテイトアーマーの描写です。(あれだけ、元ネタが露骨かつ独特なのは、文脈の色を濃くしたいという意図なのだろうなあ、と理解したりした)

■心優しき聖女が理想郷を建築すべく王国と戦います
クメール・ルージュで内政もの。別に既存の内政もののアンチテーゼ(というか揶揄とかそういうの)的な話がしたかったのではなく、また政治の擬人化系のネタをやりたかったわけでもなく、勿論クメール・ルージュを肯定しようなどと思ったわけでもなく。ただ、歴史的事実として、そんなものが起きてしまったという事実の恐ろしさとは別に、そこで失われた命やそれ以外の色々なものを蔑ろにしたいわけでもなく、ただ「面白い」と思っているので、書いた。あと、一応小説投稿サイトに書いているので、こういうタイトルを一度はやっておきたかった。

■荊の藪
芥火さんも再生怪人ですね。着想は『藪の中』の方が先で、それの舞台替えとして色々考えた結果、歴史ネタにしようと。実のところ、この種のテーマ(群盲象を撫でる)は「アレクサンドロスのモザイク」でもやってる辺り、やっぱり好きなのだ。で、歴史ネタでキリストの裁判を選んだら、荊と藪で、どっちも植物の話してるな、ってこのタイトルが浮かんだ。気に入っている。キリスト教に詳しかったら、マジで書いてたかもしれない。あと『ジーザス・クライスト・スーパースター』については言及したが、『駈込み訴え』については書かなかったが、ユダのイメージはそこ。

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