乙島紅さん
『御伽術師 花咲か灰慈〈長編版〉【第一部完結】』
https://kakuyomu.jp/works/16817330648953296456こちらの感想です。
レビューは上手くまとめられる気がしなかったので早々に書くのを諦めましたが、何故星は3つまでしか贈れないのか。もっと贈らせておくれ。
そのための祝福《ギフト》だ、と言われるとぐうの音も出ないんですけどね!
閑話休題。
改めてご紹介すると、こちらは『御伽術師』の物語です。
ジャンルとしては現代ファンタジーになるのでしょう。
現代日本を舞台に、おとぎ話に出てくるような不思議な力を持った人たちが活躍する世界で、『灰で花を咲かせる』力を持った一族の末裔が主人公です。
その力で何をするかというと、『遺灰を花に変え、故人の想いを蘇らせる』こと。『花葬り《はなはぶり》』と作中で呼ばれるこの儀式を中心に、物語は進んでいきます。
こちらの短編版が、私が乙島さんを最初に知った作品でした。
なんて温かいお話だろうとぼろぼろ泣いて、あちらこちらでお勧めしてた記憶があります。
今回は改稿版。ちょっと苦いものも混じっています。
そりゃそうだ。死と向き合うんだもの、怖くないわけがない。人間だもの、良い感情ばかりなわけがない。
それでも、この話は優しさに溢れている。
誰かが誰かを好きになる、恋でも家族愛でも友情でも、誰かが誰かに送る好意は必ずあるって訴えてくる話なんです。
タロぽんなんて、あの最後はズル過ぎなんですよおおおお! 泣かないわけないじゃないか!
そんなシリアスまっただ中の本編でありながら、思わずクスッとしてしまったのが、
「ブラック・クロス、今日アプデだよな」のくだり。
そうです、乙島さんの別の作品がソシャゲとして出演してくるというファンサービス!
私自身、書き手として、自作に他の自作のネタを混ぜるというのはよくやります。それに気付いてもらえると嬉しく思う。
逆に、読み手もしてもこういうのは嬉しいんだなぁ、とニヤニヤしてしまいました。
クレイジーさんやドーハはプレイアブルキャラクターなのかな、アプデはシナリオの追加かな、次章解放の条件とかどうなってるのかな…… と余計な方向に想像が膨らんで、ちょっと大変だった。
ブラクロは古き良きRPGの香りがする大作です。
テイルズシリーズやFFシリーズがお好きな方、是非御覧くださいませ。
https://kakuyomu.jp/works/4852201425154886036百万字クラスのブラクロに続いて、今作もまだ続くとの由。第一部でもこんなに満足なのに、なんて贅沢なのでしょう。
灰慈くんの奮闘を全力で応援したい。
第二部、楽しみにしております。