金曜の夜に書籍化作品案内ページの表紙に惹かれてウェブ版を拝読して、翌土曜日に文庫を買って読みました。
『国外追放された王女は、敵国の氷の王に溺愛される』
https://kakuyomu.jp/works/16817139558588423191カクヨムコン8入賞作品とのこと。
タイトルから想像したのは、流行の溺愛もの。甘くてふわふわしたストーリーを想像していたんです。
……甘かったですよ。甘いです、溺愛です。でもふわふわしてない。
とにかくシビア、特にウェブ版。
荷物は盗られて返ってこないし、凍傷は負うし、鼻血は出すし。ピンチに追い込まれた場面でマジの鼻血を出すヒロイン、カクヨムで他にいる?
終盤に至るまでずっと悪意と疑心を浴びさせられるヒロインなんですが、心が折れながらも、身についた品性と誇りは簡単に喪ったりしない。
読者として、そこに希望を感じるんです。
シビアながらも夢中で読んで、最後「楽しかった!」って叫べた(ウェブ版・文庫どちらも)のはきっとそれが理由。
小さなエピソードはウェブ版と文庫で違います。溺愛の雰囲気もちょっと違うけど、どっちも好きです。
シビア度はウェブ版が上ですが、周囲の人たちの思惑やらなんやらまで楽しめるのは文庫版。
どっちも面白いです、是非。
勢いで、坂合さんの別作品にもお邪魔して、こちらはレビューを書かせていただきました。
『英雄王と鳥籠の中の姫君』
https://kakuyomu.jp/works/16816927862065486815『国外追放~』と同じ世界のお話ですが、50年ほど時代は離れています。
同じ世界の物語だからでしょう。
「歴史の中で生まれた恨みを乗り越えて、人間は発展していけるのか」という、昨今の世界情勢へもつながる問いかけを感じます。
良い週末を過ごすことができました、ありがとうございました。