「花旦綺羅演戯 ~娘役者は後宮に舞う~」(
https://kakuyomu.jp/works/16817330647645850625)、引き続き毎日更新中です。12月28日更新分で前半部分終了となります。ピンチを切り抜けた燦珠たちに、喜燕も陰ながら活躍して良い感じに盛り上がっているところかと思います。引き続きお楽しみいただけますように。
今回の裏話は、結構増えてきた作中作や華劇の歌詞・念《セリフ》についての補足です。
大前提として……華劇のタイトルが様々に出てきていますが、基本的にはすべて捏造です。実在の京劇の演目にはありませんのでご注意ください。その上で、イメージしている史実や実在の物語はある場合もあるし、先の展開で登場する「演目」には実在の漢詩等を借りたものもあるのですが(それはその時に注釈しようと思っています)。
イメージ元について、作中で登場済みのところだと、例えばこんな感じですね。
・諫言によって主君の怒りを買い、宮刑に処せられた学者→司馬遷
・異国から献じられた奴隷から始まって立身出世した大将軍→鄭和
・《李潤掛師》→楊家将演義の一場面「穆桂英掛師」より。女将軍穆桂英《ぼく・けいえい》が将軍役を拝命する場面です。作中世界で李潤という将軍がいたんでしょう、たぶん。
なお、唯一実在するのが、最新話付近で隼瓊が演じる包青天《ほうせいてん》こと包拯《ほうじょう》の役です。宋代に実在した官吏で名裁判官として名高く、中国版の大岡越前守とも呼ばれる人気のある人だそうです。とはいえ包拯もの(包拯が裁判官役を務める演目)は数多あるので、現実世界と同じエピソードがあるかどうかは分かりません。
燦珠と星晶が演じた《鳳凰比翼》については、京劇というよりは宝塚のショーのイメージが近いですね。トップさんと娘トップさんのデュエットダンス、気持ちの上では百万回くらい見ていますね……。演目やトップコンビの個性によって、爽やかだったり妖しかったり、ラブラブだったり緊張感があったりと、雰囲気が千変万化するのが作中の描写に活きているかもしれません。
そしてもう一点、歌詞と念《セリフ》について。
中華ものの雰囲気が出せたらなーという意図で中国語(っぽい)歌詞等を記載していますが、DeepL翻訳でのダブルチェック(和→中と中→和で訳文を見比べています)でそこそこ和訳(?)と乖離していない文字列になっているはずですが、とはいえちゃんとした中国語になってはいないので、これも信用しないでくださいますように。何となく見た目が良いように文字の順番を入れ替えたり、文字を重ねたりしているので、あくまでも中国語「っぽい」ものとなっております。また、翻訳っぽく併記している日本語歌詞は、あえて大幅な意訳にしています。それによって漢字の持つイメージを膨らませられるのではないかと……センスがないなりに足掻いております。
なお、実際の京劇では韻の踏み方に細かな規則があるそうですが、本作ではそこまで手が回っておりません! 西太后謹製の歌詞は唱に乗せづらくて役者が苦労したというエピソードを読んだことがありますが、本作の歌詞も中国の発音では聞くに堪えないものになっているのかも……というかたぶんそう……。あくまでも雰囲気作りの一環として、深く考えたり真に受けたりせずに読み流したり見逃したりしていただけると幸いです。