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「花旦綺羅演戯」第三章終わりました&裏話⑤練習着と皇宮の描写について

 「花旦綺羅演戯 ~娘役者は後宮に舞う~」(https://kakuyomu.jp/works/16817330647645850625)、第三章が終わりました。明日からは、第四章「鳳翼一閃、暗雲を払う」を開始します。皇帝と皇太后が臨席する会の当日、燦珠たちの舞の出来栄えは、主命と友情の間で揺れる喜燕の選択は……!? となっていきます。第三章で意味ありげに出てきた名前も重要になって参ります。引き続きお楽しみいただけると幸いです。



 今回の裏話は、燦珠たちの練習着について&栄和国の皇宮についての補足です。

 まずは、既に作中で度々出ている短褐《たんかつ》(作中ルビは《じょうげ》)とはどのような衣服なのか、どうしてこの語を採用したのかについて触れてみます。
 百度百科に「短褐」の項目があったので紹介してみましょう。→https://baike.baidu.com/item/%E7%9F%AD%E8%A4%90/24406296
 イラストの通り、「労働のしやすさを目的にした簡易な服」とある通り、質素な服装です。ネット検索すると「貧民の服装」との記述も見つかります。なので、もしかしたら後宮の住人が纏うのは似つかわしくないのでは、と思った方もいるかもしれません。が、手元の資料には「軽装・動きやすい服」とだけ記述されていたこと、激しい動きをする戯子《やくしゃ》は教えるほうも教わるほうも身体の線が見えやすいほうが良いはず、との考えから燦珠たちに着せております。《ジャージ》とルビを振りたいくらいの気持ちです。
 ほら、高級ブランドのジャージだってあるし、宝塚のお稽古風景を見ると、生徒さんたちはTシャツ+ジャージでもものすごくシュッとされている訳で……秘華園の女の子たちも、質の良い生地で・色や刺繍などおしゃれにこだわった練習着を各々用意しているのではないかと思います!

 そしてこれだけでは短いので、作中の皇宮の描写についての裏話を。栄和国の皇宮は、紫禁城をモデルにしております。明朝からの首都ですし、何しろ(色々あったとはいえ)現存しているので画像検索等で参考資料も見つけやすいですしね。
 皇帝の寝殿である渾天宮はそのまんま乾清宮ですし、皇后の寝殿として名前だけ出てきた穣地宮は紫禁城の坤寧宮に相当するものとしてイメージしています(いずれも天地を意味する宮殿名になっているのです)。翔雲の執務の場として名前を出した濤佳殿は、清の雍正帝以降の皇帝が日常を過ごした養心殿あたりにあるということに(作者的には)なっています。秘華園は御花園あたりに相当する(でももっと広そう)と思います!

 読者の方が実際の史跡を思い浮かべたり重ねたりする必要はまったくないのですが、作者としては殿舎の位置関係・スケール感等に「お手本」があると描写しやすいので、こんなふうに決めています、というお話でした。

 紫禁城の殿舎の数々&そのエピソードについては下記の本が興味深かったです。
「紫禁城―清朝の歴史を歩く」 入江 曜子 岩波新書 2008年

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