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近況報告と短編32

どうも、茶畑紅です。

今回の短編ですが、今まで出一番書きづらいお話でした。と言うのも、今日のワードは10個中7個が食材や料理名で、そう言うものを見ると食べるところしか想像できなかったからです。でも、今まで何回か食べ物系は書いてきたけれど、僕にとっては難しく苦手なジャンルなんです。だから避けようとした結果、必然的に残りの三つのワードから二つを選ぶことになったのですが……。想像力と知識の足りない僕では、どうしてもお話のあらすじが思いつかなかったんです……(泣)。
ですので、今回のお話は今まで出最も駄作だと僕は思っています。それでもよければ、置いておきますのでどうぞ……。茶畑紅でした。


・短編 ワード『保護者』『品定め』

 私は子供服を専門とするアパレルショップで働いている。服を陳列したり、お客様を案内したり、そういった仕事を毎日こなしている。
 しかし、こういったお店で働いていると、よくお客様から言われることがある。それは、「全身をコーディネートして欲しい」という内容だ。もちろん、子供服を専門とする店だから、決まって保護者が自分の子供の服を見繕って欲しいという意味である。
 それについて、特に不満はない。アパレルショップで働いているのだから、コーディネートするのも当たり前だとも思う。だけど問題なのは、子供が気に入っても保護者側が気に入らないと買ってもらえないということだ。そう、なぜなら、こういった場所に来る親はファッションを重要視する意識高い系の人が多いからだ。いや、それは偏見かもしれないけれど……。

 とにかく、そう言うことだから子供服を選ぶ際にはコツがいるというわけ。そのコツは、保護者のファッションセンスを品定めすること。
 要するに、保護者のファッションセンスに似たものを選ぶか、気に入りそうなものを選ぶことが必要になってくるということ。他の人は知らないけれど、私の辿り着いたアンサーはそれだった。
 そして、今日も今日とて、そのコツに従って保護者側を品定めしていた。

「この子に似合う服を見繕ってもらえる?」
「かしこまりました」

 私はマニュアル通りに答えながら、視線は子供ではなく保護者である母親のほうへ向けていた。当然、子供に似合う服ではなく、親に認められる服を選ぶためだった。子供のほうは最低限性別さえわかっていればいい。
 母親の服装は、一言で言えば奇抜。髪の色もかなり明るい金髪で、化粧も凝っている。ちらりと見えた、息子だろう男の子の髪には剃り込みまで入っていて、若い頃にやんちゃしていただろう事が窺えた。それに口調もかなりえらそうだったし。
 これは間違えたらクレーマーに変貌しそうだと、深呼吸をして気合を入れる。待たせないようお店の中を迅速に動きながら、けれども正確に合うだろう服を見繕っていく。

 選んだのは派手で人目を集めそうなもの。もちろん上下の相性や、統一感も持たせている。何より、あの母親のような人物が好むものを選んだつもりだ。つもりと言うのは、保護者と子供の性別が違うため、好みの系統を探りにくいからだ。だけど、今までの経験からはこれでいいだろうと予想している。
 そして、その予想は見事的中した。

「あなたわかってるわね! 一式全部買うから会計よろしく」

 試着室から出て、母親は大喜びでそういった。ふふ、私にかかればこんなものよ。

「ありがとうございます」

 心の中では、私は良いと思わないけどねと付け加えながら頭を下げた。
 これが私が社会に出てから、楽に仕事をするために身につけた術。アパレル店員として学んだ、お客様に似合う服ではなく、気に入られる服を選ぶコツ。私の場合は子供服だから、親に気に入られる服だけど。
 皆ももしコーディネートしてくれといわれたら、真似してみるのはどうかな?

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