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近況報告と短編31

どうも、茶畑紅です。

今日の短編ですが、また三人称に挑戦してみました。ですが、本当はよくライトノベルで使われる三人称単視点で描きたかったのですが、書き方がいまいちわからず三人称神視点になってしまいました。どうすると三人称単視点になるんでしょう? 僕はいまだによくわかっていません。次に挑戦するまでには勉強しておこうと思います。それでは、茶畑紅でした。

以下短編です。


・短編 ワード『蛇』『半袖短パン』

 とある田舎の山のそば。そこで、二人の女の子が遊んでいた。
 そこはいつも遊び場として使っている場所で、手作り感漂う遊具がわずかばかりだが設置されている、公園のような場所だった。しかし、やはり山が近いという事もあり、危険が起こりうる場所だ。
 そして今、女の子たちはその危険に直面し、腰を抜かして座り込んでしまっていた。

「……っひ!」
「いやぁ……」

 二人は体を抱き合わせて震わせ、ただ一点に視線を送っていた。
 その先には、細く長い胴体とその先端に小さな頭を持った動物がいた。そいつは、胴体を右に左にと波を作りながら、器用に女の子達の下へと近づいてくる。ちろちろと覗く舌が、二人の恐怖心をさらに煽った。
 どうしようもない。ここで自分たちは死んでしまうんだ。そう二人が思った直後――。

「――どしたん?」

 背後からどこかとぼけた声。それは二人にとって、よく知っている声だった。
 恐る恐る振り向いた二人は、そこにいた同じクラスの男の子を視線で捉える。頼りなさそうな呆けた顔と、防御力のなさそうな半袖短パン姿。おおよそ山に来る装備ではない彼を見て、二人の女の子のうちひとりが、震えた声で聞いた。

「お、小口、君……?」
「うん、そだけど。二人でどしたん?」

 小口と呼ばれた男の子は、小首をかしげてから改めて聞いた。すると、名前を呼ばなかったほうの少女が視線を正面に戻してから、掠れるような声で答えて指をさした。

「……へび、が」
「へび? ――ああ」

 指でさされた方向を見て、小口は納得したように声をもらす。
 すると、何を思ったのか、女の子達が座り込んでいる横を通り過ぎて、蛇のいるところへと迷いなく足を進めた。

「ほい」

 そして気の抜けるような掛け声とともに、小口は素早く手を動かして、蛇の頭をわしづかみにした。女の子二人は何が起こったのかわからず、しばらく呆けていた。

「こいつ毒ないからだいじょぶだよ。次に見かけたらすぐ逃げて大人のひとを呼ぶといいよ」

 小口は語りながら歩き、広場と林の合間の辺りまで来ると、蛇を林の奥のほうへと放り投げた。怯えた蛇が遠ざかっていくのを眺めて、小口は二人の下へと戻ってくる。女の子達のほほは少し赤らんでいた。

「おじいちゃんが山で待ってるから僕は行くよ。じゃ、またね」

 何事もなかったかのようにそう言い、小口は山の奥へ続く道を抜けて行った。
 それでも二人は取り付かれたように小口の背中が見えなくなるまで眺め、やがて顔を合わせて同時に言った。

「「……かっこいい」」

 その後、二人はこの日のことを夢のように話すようになり、学校での小口の評価はうなぎのぼりであった。それまでは、年中半袖短パンで過ごす変な奴という認識であったのに、今では服を捨てた勇者とまで呼ばれることとなった。

 そして、その日から女の子二人の小口への猛烈アタックが始まり、小口は迷惑がって逃げ続ける。そんな日々が繰り広げられることになったのは、また別のお話。

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