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近況報告は省略……と短編37

どうも、茶畑紅です。

タイトルにもあるとおり、今日は時間がないので短編のみになります。もう近況ノートの意味がない気がしますが知りません(笑)。では、以下短編ですのでどうぞ。


・短編 ワード『レモンサワー』『途中下車』

 電車での旅行の途中、私は立ち寄る予定のなかった駅で途中下車した。
 理由はお酒を買うため。スマホで最寄の酒蔵を検索する。せっかく遠出してきたのだから、どうせならその地ならではの地酒が欲しかった。
 調べた結果、すぐ近くにお店があった。早速私はそこへ向かう。

 辿り着いたそのお店は、なんだかノスタルジックな雰囲気のある酒店だった。ガラガラと音を立ててスライドする扉を抜けて、お店の中へと入る。酒店ならではの独特な香りを感じながら、とりあえず並んでいるものを見ていると、お店の人らしきおばちゃんが話しかけてきた。

「お姉さん、どんなお酒をお探し?」
「えっと、あんまりきつくない地酒を探してまして。できれば、一人で飲むのにちょうどいいサイズのものがいいんですけど」
「ふんふん……ならこれかねぇ」

 おばちゃんはペットボトルより少し少ないくらいの量が入っているだろう一本の瓶を持ち上げて、私に渡してきた。それから、こういった素材を使っていてとか、飲みやすさはどうでとか、簡単に説明されたけれど、それを私は流し聞きしてから「じゃあこれ下さい」と言って会計を済ませた。
 荷物を持っていないほうの手でお酒を持ち、あけても蓋を閉められるタイプなことを確認して、一口飲んでみることにした。
 蓋を取って口元に近づけると、なかなかに強烈なアルコールの香りがした。

「……これほんとにきつくない?」

 疑問に思いながらも、ゆっくり一口。
 一瞬で広がる日本酒の鋭さと、強烈なアルコール。美味しくないわけじゃないけど、明らかにきついタイプのお酒だった。

「うあぁ~。家で飲むならいいけど、これ飲みながら電車旅は無理だなぁ」

 騙されたと思いながら溜息をついて、コンビニによってから電車に乗ることにした。
 駅のすぐ横にあったコンビニから出て、切符を通して改札を抜ける。どうも、私の向かう方向の電車が来るまで、あと20分ほどかかるみたい。結構田舎よりの場所だから、待つのは仕方ないしもう慣れてる。私は近場の椅子に座って、先ほどコンビニで買ったものをビニール袋から取り出した。

「うん、これが安心安定だよね」

 取り出したのは缶のタイプのレモンサワー。私がよく家で飲んでいるやつだ。
 これなら飲み慣れてるし、景色を見ながらのお供にも合うだろう。うん、最初からこうしていればよかった。
 私は早速プルタブを指で持ち上げた。カシュっと小気味いい音が鳴って、レモンのさわやかな香りが広がる。これこれ、と思いながらガッと煽って喉を潤した。じんわりとアルコールが全身に回る感覚がして、体が火照ってくる。お酒はこの感覚がやっぱりたまらなかった。私はそのままごくごくと喉を鳴らし続けた。

「あれ、なくなっちゃった」

 豪快に行き過ぎて、あっという間に缶が空になった。あまりの速さに私は苦笑いして、すぐ横にあった缶入れんに空き缶をつっこんだ。

「でも~、大丈夫ぅ~!」

 私は陽気に音程をつけながら言って、ビニール袋からまったく同じものをもう一缶取り出した。
 こんなこともあろうかと、3缶買っておいたのだ。私に抜かりはない。
 ハハハなんて悪役のように笑っていると、私の乗るべき電車がやってきた。ふらつくことなく立ち上がって、取り出した缶は開けることなく袋にしまう。
 後は乗ってから開けようと、そう思った。これからまだまだ二日も旅の期間があるんだ。最初から飛ばしすぎても後が辛い。ここはゆっくりゆっくり楽しんで行こうと私は思ったのだ。

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