どうも、茶畑紅です。
五分で読書の短編小説コンテストはもうすぐ500作超えそうですね。すごい賑わいです。それだけ数があるなら、僕の愚作を投稿しても気付かれずに済みそうですね(白目)。出来るだけ早めに書き上げることにします。
今回の短編はSNSが題材です。しかし、僕はあまりSNSを頻繁に利用するような人間ではなく、その事情をあまり知りません。なので、本当にこんなことがあるのか、こんなことを思うのか、想像しきれていません。もし「ありえない!」と思って、大目に見ていただけると幸いです。
では、茶畑紅でした。
・短編 ワード『ヒットメーカー』『影響力』
「わっ! なになになに!?」
宿題をするために机に向かっていると、すぐそばにおいてあったスマホがすごい勢いでぶるぶると震えだした。普段そんな事一度もなかったから驚いてしまって、思わず盛っていたペンを落としてしまった。
慌ててスマホを持ち上げると、SNSからの大量の通知。進行形でとめどなく襲い来る通知の嵐に、狼狽しながらも通知の設定をオフに変えた。
「急にどうして……?」
私はそのSNSを長らくやっているが、フォロワー数は200人前後で、半ば身内しかフォローしてくれていない状態だ。鍵垢ではないから別に誰でも見れるけれど、こんなことになるのは初めてだった。
自分の投稿を見返すと、先ほど投稿した飼い猫の写真について『いいね』が大量についていた。コメントもかなり多くされていて、ちょっと読みきれない。
「私の知らないうちに何があったの……?」
自分の飼い猫の可愛い姿が皆に共感されるのはすごく嬉しいんだけど、そんなことよりも急な出来事に頭がついていかない。正直、嬉しさよりも驚きが先に来てしまって、どうしていいのかわからない状態だった。
そうして、コメントを遡っていくと、その原因について触れたコメントを見つける。
『ホホットさんがいいねしてるから何かと思ったら、可愛すぎて吹いた』
「ホホットさんって、もしかして――!?」
ホホットさんと言う名前は知っていた。私と同じように猫を飼っていて、毎日のように猫の可愛い姿を投稿している、フォロワー数100万越えの有名人だ。その猫の写真はいつもバズっていて、文字通りのペット界のヒットメーカー。もちろん、私もフォローしている。
また慌ててコメントを一番上まで戻ってみると、見逃していたのか、ホホットさんのコメントがあった。
『この子可愛い! うちの子たちにも負けないオーラをもってる! これは私たちも負けられない!』
そのコメントは、私の投稿と同じくらいいいねを貰っていて、ようやく私はこの事態の原因を察することが出来た。たまたま目に付いた私の投稿に、ホホットさんのようなヒットメーカーが触れたことによって、バズったのだと思う。これが有名人の影響力。すごい。
私はどうも興奮しているらしく、語彙力を失いながらも学校の友達へと自慢の連絡を送った。これで私も有名人の仲間入り! なんてうぬぼれながら。
翌日。また飼い猫の写真を投稿したが、昨日のようにはならなかった。いや、以前とは目に見えてわかるほどいいねは貰えたのだけれど、バズる……とまではいかなかった。有名人になったなんてうぬぼれていた昨日の私が恥ずかしかった。
けど、あの興奮と満足感はまた味わいたい。そう思った私は有名人になるべく、その茨の道を進むことを決めたのだった。