どうも、茶畑紅です。
今回の短編ですが、きっと皆さんも一度は悩んだことあるのではないでしょうか。お好み焼きかもんじゃ焼きか……まさに究極の二択……。まあどっちも提供しているお店は結構あるので、どっちも食べれば解決はするんですけどね(笑)。ちなみに、僕はお好み焼きにデスソースをかけるのが好きです。今度もんじゃに混ぜてみるのもいいかもしれませんね。茶畑紅でした。
・短編 ワード『もんじゃ焼き』『断腸の思い』
「ねえ。どうでもいいかもしれないけど、聞いても良い?」
会社の同僚に不意に聞かれて、俺は首をかしげて見せた。
「なに?」
「お好み焼きとたこ焼きともんじゃ焼き、どれが一番好き?」
本当に唐突で、その話の意図が見えなかった。
いや、まてよ。これはこの後飲みに行くお店の候補を決めるためなんじゃないか? そう考えると、たこ焼きは少しおかしい気がするが、そうだと半ば確信した俺は真剣に考えることにした。
「まって。考える」
「え……? そんな真剣に考えなくていいんだけど……」
お好み焼きとたこ焼きともんじゃ焼き。今思ったとおり、たこ焼きは屋台で買い食いするイメージだから、飲みながらと考えると残りの二つが妥当だろう。しかし、どちらが好きかときかれるとかなり悩ましい。と言うか、俺ならどっちも好きだと答えるだろう。
お好み焼きの俺にとっての魅力は、ソースとの相性と野菜の食べやすさ、そして具材を変えていろんな味で食べられること。特に最後のは、飲みのお供として飽きないというすばらしい強みを持つ。一つだけでおなかいっぱいにはならないし、いろんな味を注文してシェアするのも面白い。飲みに行った時にただお酒を飲むだけではなく、食欲も満たしたい俺としては最高の選択肢といえるだろう。
対してもんじゃ焼きだが、俺がもんじゃ焼きで一番好きなところはまず間違いなくあのおこげだろう。鉄板に押し付けることで出来上がる、あのぱりぱりのおこげ。噛んだときの濃いめの味と食感がたまらないんだ。それに、味付け的には正直もんじゃ焼きのほうが好みだ。甘じょっぱい味付けより、しょっぱい味付けが好みの俺としては、もんじゃ焼きのほうが好みと言うことになる。いや、店にもよるが……。
この二つのうち一つを選ぶ……何と言う究極の二択。これはかなり決めるのに時間がかかりそうだ……。
「……むむむ」
「ねえちょっと、そんなに考えなくていいって。ただ話のネタとして聞いただけなんだから、黙り込まれると虚しいんだけど」
同僚になんか言われているが、そんなことに気を使ってやる暇は無い。俺は今人生で一番の悩みの前にいるのだから。
それから小一時間悩み続け、仕事が終わったところで俺は結論を出した。
「……もんじゃ焼きにしよう」
「え、今頃答えるの? 遅すぎない?」
断腸の思いでひねり出した答えに、同僚は呆れたような態度だった。
どうも、同僚は帰る準備をしていたみたいで、もうデスクの上は片付いていた。
あれ? 普通に帰る雰囲気に見えるけど……飲みに行かないのか?
「あれ、もんじゃ喰いにいかないのか?」
「え、私そんなこといってないけど。今日用事あるから、先に帰るね。じゃ」
それだけ言って、同僚は会社をオフィスを出て行ってしまった。
おい。俺はもうもんじゃ焼き食べる気満々なんだぞ。この行き場の無い思いはどうしてくれるんだ。そう思いながら途方に暮れ、やがてとぼとぼと帰りの支度をした。
その日の夕飯に、一人でもんじゃ焼きを食べに行ったことは言うまでもないだろう。
あしたは、お好み焼きを食べに同僚を誘おうと思う……。