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近況報告と短編29

どうも、茶畑紅です。

そういえばなんですけど、僕の名前の読み方は「ちゃばた こう」のつもりです。今更かよ、と思われそうですけど、僕もそう思います(汗)。ただ、明言していなかったので、一応書かせていただきました。ちなみに、「茶畑」をちゃばたけではなくちゃばたと読むのは、単純にそのほうが呼びやすいかなと思ったからで、深い意味はありません。紅については単純に紅茶からとりました。安直過ぎる、と自分でも思うのですが、ちょっと気に入ってるんできっとこのままだと思います(笑)。

今回の短編ですが、また落ちはありません。と言うか、本当に短い短編を書こうと思っていたら、そうなってしまっただけです。あくまで日常の一部、そんな世界もあるということを書きたかったので(汗)。ただ、警察の仕事がそれだけなのかはまったく知りません。いや、まず間違いなくそれだけのはずはないんですけど、できるだけ簡略化しました。……嘘つきました、知らないだけです……無知ですみません。
ということで、そんな無知が書いた短編ですが、よければ一読ください。茶畑紅でした。
以下短編です。


・短編 『夏みかん』『パトロール』

 俺が働いているこの村の人口は大体500人前後。家屋も古いものしか見当たらず、周囲は山と田畑と果樹園に囲まれている。田舎の中の田舎、ド田舎と言っても良い場所だろう。
 俺はそんな村の交番に勤務している警察だ。仕事内容は都会の警察と比べてかなり適当なもので、いつも暇をしている。と言うのも、走っている車は軽トラばかりだし、そもそも数が少ない。事件と言う事件もここ数十年に渡って起きていない上、事件を最も起こすだろう若者もほとんど住んでいない。というか、おじいちゃんおばあちゃんしかいない。あまり災害の起こるような地形でもない。
 だから、仕事があったとしても、怪我や病気になったお年寄りを病院へ運ぶ手伝いくらいだった。

 だが、それが嫌だというわけではない。むしろ気に入っている。
 仕事がないということは、それはつまり安全を保てているということになり、職務を達成している気になれるからだ。もちろん、その気分に耽って職務を放棄しているわけではない。最低限の仕事は当然している。その上で、気分がよくなるということだ。
 それともう一つ。この仕事を気に入っている理由がある。
 それは、田舎ならではの特権だと思う。村をパトロールしているときに、その恩恵にあやかることができる。

「あらあら山口さん。今日もパトロールお疲れ様」
「笹山さん、体のほうは大丈夫ですか?」
「ええ、おかげさまで良好よ。元気すぎて今日も一汗かいてきたところなのよ」
「それはよかったです。これからも適度な運動を欠かさず、お体を大切になさってください。ただ、今の時期は日差しも強く気温も高いので、くれぐれも日射病や熱中症には気をつけてください」
「そうね、気をつけるわ。山口さん、いつも心配してくれてありがとうねぇ。ところでこれ、今朝取れたのだけど」

 そう言って、笹山さんはダンボールに入ったオレンジ色の果実を見せてきた。

「これは……夏みかんですか?」
「そうよ。良い色になったでしょう?」
「ええ、すごく美味しそうですね」
「そう思ってくれると嬉しいわぁ。私とあの人では食べきれないから、これ一箱差し上げるわ」
「え!? こんなに貰っていいんですか?」
「ぜひどうぞ。山口さんにはいつもお世話になっているもの。これくらいしないと恩を返せないわぁ」
「そう言っていただけるとたいへん励みになります。食べたらまた感想を伝えに来ますね」
「ええ、待ってるわぁ」

 会話を終えて、ダンボールを抱えてまたパトロールに戻る。
 それからも、行く先々で野菜や果物など様々な物を貰い、パトカーの中がパンパンになっていく。きっとこれだけで、数ヶ月は生きていけそうなくらいの食料になる。
 そう。俺が気に入っているのはここだ。田舎のおじいちゃんおばあちゃんたちはだいたい何かしらの農業をしており、あまったものやたくさん出来たものをほいほいとくれるのだ。
 食費が減るし、何より人の温かさを感じる。だから俺はこの仕事が好きだった。きっと、もっと大きく責任ある仕事をもらえる場所にいける、と提案されても俺は断るだろう。それほどまでに、俺はここの暮らしと温かい住民達が好きなんだ。
 これからも、何も事件や事故が起きないよう、この村に寄り添って安全を守っていこう。常々そう思うのだ。

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