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近況報告と短編22

どうも、茶畑紅です。

最近肌寒くなってきて、寒がりな僕はこれからどんどん気温が下がることを思い億劫な気分です。皆さんも季節の変わり目は体調を崩しやすいので気をつけてください。
それで、新作というか改稿している作品についてなんですが、いい加減出さないとなと思っています。しかし、執筆は遅々として進まず、非常にもどかしい気持ちです。もしかしたら、綺麗に書くことは諦めて、半ば無理やり気味な文章で投稿してしまうかもしれません。もし待っている方がいましたら、期待せずにいてくれたらなって思います。

では、今回の短編ですが、会話シーンを多めにして三人称で書いてみました。三人称の文章にはなれていないので、変になっているところもあるかもしれません。それと、書いてるうちにやはり僕は要素を足していってしまうみたいで、後から矛盾を見つけて修正するのが難しくなってしまいます。今回の短編も修正はあまり出来ていないので、矛盾点やその要素いる? と言うことが多発すると思います。こういうのの矯正ってどうすると出来るんでしょうね? ともかく、直せるように頑張っていこうと思います。茶畑紅でした。
以下短編です。


・短編 ワード『アンドロイド』『日焼けサロン』

 ある日焼けサロンに、困った様子の三十代後半の男と、若く見目麗しい見た目の少女が向かい合っていた。
 男は顎をこすりながら、深い溜息をついてからもう一度少女に聞いた。

「あー、えっと。君が肌を黒く染めたいのなら、くるべきところはここじゃないと思うんだが……」
「なぜですか? 私が検索したところによると、肌を黒く染色するならば日焼けサロンだと出ましたが」

 少女は表情を一切動かさず、抑揚のない声で言った。
 それを聞いて、もう一度溜息をついた男は、改めて少女がわかるように説明することにした。

「……あのね、もう一度言わせてもらうけど、ここは人間が肌を焼くために来る場所なんだよ。君はアンドロイドなんだろう?」
「はい。ですが、ご主人様は私のことを人間のように扱ってくれます。人間と変わらないんだよっていつも言ってくれます。ですから、人間と変わらない私はこちらで処方出来るはずです」
「いやいや、それはどう考えても違うだろう? ……君もしかして、初期型かい?」
「ええ、そうですが。それは私に対する侮辱ですか? 初期型は記憶容量の少ない欠陥品だとお思いですか?」
「違うよ……どうしてそう飛躍して捉えてしまうんだ……」

 男は何度目かわからない溜息をついて、もう一度少女を見やる。

「確かに初期型は最新型に比べて記憶容量も少ないだろうし、AIの性能も良くはないんだろうと思う。僕も家に初期型の子がいるからわかるよ。けどね、さすがに自分を体の構造から人間だと思うほどバカじゃあないだろう?」

 男はそう言って少女へと声を掛けた。少女は顔を伏せ、しばし考える仕草を取ってから答える。

「……その通りです、済みませんでした。ご主人様は人間のように扱ってくれますが、結局私はアンドロイドです。最初から出来ないだろうことはわかっていました」

 その様子から、この少女は主人に愛されているのだなと男は感じた。普通の人ならば、アンドロイドはただの道具。人間と同じように扱うことなんてないからだ。
 そう思った男は出来るだけ優しい声で聞いた。

「なら、どうしてここに着たんだい?」
「ご主人様は肌の焼けている人が好きだということがわかったので」
「あー、そう言うことじゃなくて、何でアンドロイドのパーツを取り扱っている店ではなくて、うちに来たのかってこと」
「それは……」

 少女は口ごもって、黙り込んでしまう。先ほどもそうだったが、考えるということは本来アンドロイドならありえないことだ。人間より処理速度も記憶力も優れているアンドロイドならば、聞かれたことに迷うこともなく一瞬で答えを出す。しかし、初期型は普通の人間よりも性能が低いため、こうして考えることも多い。その上、出した答えは間違ってしまうことも多い。きっと、多くの人は彼女らのことを欠陥品だと思うのだろう。しかし、一部の人たちからは、最も人間らしいと愛されている存在でもあった。
 男もそのうちの一人であったため、少女の返事をゆっくり待つことにした。そして、少女はやはり間違い、あまり言いふらしてはいけないだろうことを言った。

「……ご主人様には、お金がないからです」
「……そうなのかい?」

 それを聞いた男は、少し疑問に思う。
 昨今では、アンドロイドと言うロボット達のことが世間に周知され始めたが、一般的に普及しているわけではない。その理由は単純に、高価すぎるからだ。一体買うだけで、家が一つ建ってしまうほどの値段。しかも、初期型は一部の層から人気があるため、プレミアがついているはずだ。かくいう男も、大枚をはたいて初期型を手に入れた。
 ともかく、初期型を持っているような人間が貧乏と言うことはほぼありえないのだ。……借金で買ったとか出なければ、だが。
 もしや少女のご主人も初期型を欲するあまり借金で……という男の心配は、少女の続く言葉で杞憂に変わった。

「私は、捨てられたところをご主人様に拾われたんです」
「捨てられた?」
「はい。前のご主人様に、役立たずと最後に言われたのを覚えています。その後、ゴミ捨て場に捨てられました」

 なるほど、と思うと同時に男は驚いていた。初期型をむやみに捨てる以前の主人もそうだが、何よりその記憶を消していない今の主人に。
 今の少女の主人は本当に少女のことをロボットではなく、人間として扱っているのだなと改めて感じた。そして、その主人に親近感も覚えていた。
 だからこそ、男はゆっくり諭すように少女に声を掛けた。

「そうか……でもだったら、だからこそ君はこういうところに来てはいけないと思うよ。もしアンドロイドのことを詳しく知らない人が君の要求を受けてしまっていたら、君は壊れてしまっていたかもしれない。日焼けサロンの機械はあくまで人間用だからね。アンドロイド相手にどうなるかは僕にもわからない。だけど、もし君が壊れてしまったら、君に対して人間と同じように接しているご主人様はどう思うかな?」
「――っ!」

 少女はようやく理解したみたいだった。きっと人間と同じように扱うような人ならば、少女が壊れるのは大切な人の死も同然のように感じるのではないだろうか。少なくとも、もし男の家にいるアンドロイドが壊れてしまえば、男もそのアンドロイドの死を悲しむだろうと思った。
 そして男はもう一度少女へ優しく言う。

「だから、きちんとご主人に相談してからにしたらどうかな」
「……そう、ですね。あなたの言葉で目が覚めました。本当にありがとうございます」
「ならよかった」

 少女は相変わらず無表情だったが、男にはどこか嬉しそうにも見えた。そのことに満足して頷き、少女を立ち上がらせてあげた。

「それじゃあもうここにはこないようにね。帰り道は気をつけて」
「はい。何から何までありがとうございます。ご主人様には、すばらしい方と出会ったとお伝えしておきます」
「そんなこと言われると照れるな……。まあでも、今度はそのご主人つれて遊びにきなよ。日サロ目的じゃなくてもいいからさ」
「いいのですか?」
「うん。君の話を聞いて、君のご主人には親近感が湧いてね。さっきも言っただろう? 僕の家にも君と同じ初期型の子がいるんだ。アドバイスなんかもできるかなってね。それに僕はここのオーナーだからさ、多少サボっても問題ないよ」
「わかりました、ご主人様に伝えておきます。本当に今日はありがとうございました」

 そう言って、少女は去って行った。
 長々と会話してしまって仕事にはならなかったけれど、男はなんだか充実した気分だった。少女を見送ると仕事に戻り、家で待っているだろうアンドロイドのことを考える。
 今日はあの子に優しくしてあげよう。男はそう思ったのだった。

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