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近況報告と短編14

どうも、茶畑紅です。

今日は、一日あけての投稿となりました。昨日あげなかったせいで、なんだか今日はいつも以上に書きにくかった気がします。やはり、毎日書いていないと書き方を忘れてしまうんだなと身にしみてわかりました。いや、覚えている書き方が正しいのかどうかは置いておいて、ですが(笑)。
というわけで、これからも毎日の短編はできるだけ欠かさないようにしようと思います。

ところで、今日は鍋を使ってミルクティーを入れてみたのですが、水っぽくなってしまっていまいちでした。動画やサイトなどで作り方を調べて、その通りに作ったのですが、何がいけなかったのでしょう? 少し調べると、牛乳の乳脂肪分とか、水の割合とか、茶葉を入れる量とか、いろいろ解決策は出てきたのですが、どれが本当なのかさっぱりわかりません。結局、次回は色々試して調整しよう、と、微妙なミルクティを味わいながら思いました。
改めて、紅茶の世界は本当に深く難しいものだなと感じました。

今回の短編ですが、前々から書いてみたいとおもっていた中二病の女の子をヒロインにしてみました。ですが、あまり難しい言葉を知らず、なんだか薄っぺらい中二病感になってしまった気がします。自分の中に中二病の心があっても、中二病のキャラを描くというのは案外難しいんだなと思いました。
では、以下短編ですので、気が向きましたらどうぞ。


・短編 お題『赤目』『馴れ馴れしい』

 僕は、自分の瞳の色が嫌いだった。
 理由は単純だ。僕の瞳の色は他の人と違うから。
 日本人は普通黒目だ。いや、見た目で言えば茶色のほうが近いのかもしれないけど。とにかく、それ以外の色はほぼない。
 だけど、僕の瞳の色は、黒や茶色ではない。生まれたときから鮮やかな赤色だった。充血してとかそう言うことではなく、瞳の色が鮮血のような赤だったのだ。

 そんな見た目だったから、学校で友達は一度も出来たことがなかった。
 当然だろう。事情を知らない人から見れば、赤色のカラーコンタクトをつけているヤバイ奴だ。もし僕が普通の瞳の色だったら、そんな奴とわざわざ仲良くなろうとなんて思わない。
 だって、たとえ病気のせいだという事情を友達が理解していても、街中で隣を歩いていたら、周囲の人間はヤバイ奴の友達だと距離を置くだろう。そんなの耐えられない。
 もちろん、実際はそんなことなく、僕は街中に出る時は黒いカラーコンタクトを入れている。だけど、そんな想像が頭をよぎってしまえば、もう変に仲良くなんてしたくなるわけだ。

 だから、僕に友達が出来ないのは仕方ないことだと諦めていた。
 そう割り切ってしまえば、どうってことないとも思っていた。それなのに、最近僕は変な女に付きまとわれていた。

「フフフ、我が盟友よ。今日は何処へ?」

 へんてこな喋り方をしながら、自分の歩幅で歩く僕の後ろをちょこちょこ慌てたようについてくる女の子。服装は普通に制服だけれど、顔を半分隠すように持ち上げた腕には、包帯が巻かれていた。よく見れば、髑髏のイヤリングとか、怪しい文字の彫られた指輪とか、他にも女の子に似つかわしくないものを幾つも装着している。というか、校則違反だと思う。

 そんな彼女は、どうも僕の一つ年上の三年生の先輩らしくて、突然現れて馴れ馴れしく接してきたのだ。その時は、「貴様はかつての我が盟友か!? フ、フフフ、まさか我と同じように貴様も現世に身を窶していたとはな……これは運命だったということだろう」とか大声で言い放って、僕のクラスメイト達をドン引きさせていた。これ以上クラスメイトとの関係を悪くするのはやめて欲しいと思った。べつに今更仲良くなんてなれないだろうけど。

 それから僕は毎日付きまとわれるようになり、こうして放課後には校門で待ち伏せされて、強制的に一緒に帰宅しているというわけだった。

「先輩。いい加減やめてくれませんか? 僕なんかに付き合ってもいいこと無いですよ?」
「望むところだ。前世で我と共に神に逆らった貴様と共にいられるのなら、我はどこまでも堕ちてやろう」

 無駄だろうと知りながらも、一応注意してみるけれど、やはり彼女は取り合ってくれない。むしろ僕が嫌がれば嫌がるほど、その対応を自分に都合のいいほうに捻じ曲げて嬉しそうにしている。
 僕の手に負えないと、もう半ば諦めていた。

「しかし、何故その邪眼を隠してしまうのだ? それは貴様の唯一にして無二の力だろう?」

 邪眼と言うのは、もしかして僕の瞳のことを言っているのだろうか? 別に力なんて何も宿っていないのだけど……いや、嫌われることができるという嬉しくない力はあるのかもしれない。
 僕は脱力しながら、溜息を吐いた。

「別に僕の目に力なんてないですよ。先輩が欲しいなら交換したいくらいです」
「なんともったいないことを言うのだ。我は貴様のその目が気に入っているのだぞ」
「へえ、どういうところがですか?」
「それはだな――」

 そこから始まる先輩の力説を聞きながら、僕は変なことを聞くんじゃなかったと後悔した。
 神をも殺す力がどうとか、凡人はその目を見るだけでひるみ近寄れないだとか、その目を慕った軍勢が数万もいただとか、ないことないこと語る先輩に僕はいらつきすら覚えていた。だって、それは僕にとってどうでもいいことか、なおさら嫌いになりそうなことばかりだったからだ。だから、無視を貫くことも限界で止めようと僕は口を開いた。
 だけど、続く言葉に僕は何も言えなくなってしまった。

「――何より、我はその鮮やかな血の色をした瞳が、綺麗だと思ったのだ」

 先輩は満足そうにそう締めくくって、僕の顔を見た。そして、面食らったような顔をしていた。

「な、なんで泣いてるの!? え、私なんか傷つけるようなこと言っちゃった!? あ、あの、傷つけたのなら、ごめんなさい……」

 素に戻った先輩は始めて見るな、なんて思いながら僕は歩くのをやめていた。
 血の色なんて表現されたのは置いておいて、綺麗だなんてはじめて言われた。そう思ったら、感極まってしまったのだ。
 僕の目を見た人の第一声はだいたい決まっていた。「気持ち悪い」「化け物」「不吉」そんな負の言葉ばかりだった。だから、その肯定的な言葉を僕は嬉しく感じたのだ。涙が出てきたのは想定外だったけれど。

 しばらくすると僕の涙は止まって、終始おろおろしていた先輩も心配そうな顔をこちらに向けていた。
 僕はなんだかおかしくなってしまって、大声で笑った。もちろん先輩は驚いて、またおろおろし始めた。

「先輩って素に戻ると結構可愛いんですね」

 僕は多分、恥ずかしかったんだと思う。普段見せない涙を見られて、動揺していたんだ。
 それを隠したくて、笑いながら言った。

「や、やめてよぉ! カッコいいって言って欲しいのにぃ……ううぅ……」

 だから、油断していた。顔を真っ赤にして俯く先輩の姿を見て、僕のは心臓は荒れ狂うようだった。不覚にも、この残念すぎる先輩にときめいてしまっていたのだ。
 あまりにも自分がちょろすぎて、また笑ってしまった。

「さて、先輩。暗くなる前に帰りましょうか」
「……え?」

 空を見れば、もう夕暮れはほとんど輝きを失っていて、辺りは見えにくくなっていた。
 僕はカラーコンタクトを外して、先輩に視線を送っていた。

「目、なんで……」
「いや、カラコンの色が黒いので、夜になるとよく見えなくて危ないんですよ」

 わざとらしい言い訳をしながら、僕は先輩の手を取っていた。
 どうも僕は、がつがついくタイプらしいことを始めて知った。

「ほら、帰りましょう? 暗い時間に女の子一人だと危ないので、ちゃんと先輩の家まで送りますから」
「え、あ、え? ま、まって? 態度変わりすぎじゃない!?」

 先輩には言われなくない。そう思いながら僕は先輩の手を引っ張った。
 最初は馴れ馴れしいなんて思ったけれど、今は感謝の想いで一杯だった。そんな想いを悟られたくなくて、僕はペースを上げていた。

「あ、早い! 早いから! 転んじゃうからやめてー!」

 叫ぶ先輩を連れて、僕は走った。
 これから先、この先輩と一緒にいるのは大変だろうけど、きっと楽しくなるだろうななんて思ったのだった。

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