どうも、茶畑紅です。
今日も今日とてこの時間になってしまいました。土日は早く投稿は少し厳しいかも知れません……。
そして、明日なのですが、時間を取られる用事が入っているので、もしかしたら近況ノートを更新できないかもしれません。もし楽しみにしてくださっている方がいましたら先に謝っておきます。本当にすみません。
もちろん、かもしれないなので、投稿する可能性もあります。期待せずに待っていていただければと思います。
今回の短編ですが、これまでのものに比べれば非常に短いです。
ですが、僕は本来このくらいの長さのつもりで短編を書き始めました。いつもが、執筆する腕が勝手に暴れて、冗長なものになってしまっているだけなのです。ですので、これからは出来るだけ今回くらいの短さを目指して書いていくつもりです。そうでないと、せっかくの執筆時間が、ここに書く短編でおわってしまいますから……。
では、以下に短編を置いておきますので、気が向きましたらどうぞ見ていってください。
茶畑紅でした。
・短編 お題『妖怪』『大逆転』
僕は知っていた。最近この町に妖怪がでると噂になっていることを。その姿は、青い肌の巨体と大きな角を持つ鬼のようだったと。夜中に出歩いている人を襲い、喰ってしまうのだと。
「――っく、っはあ、はあ、はあ、っ!!」
知っていたのに僕は、一人で夜道を歩き、今走らされている。
背後からは大きな足音と、岩と岩をこすり合わせたような呻き声。間違いなく、くだんの鬼なのだろうと思った。
必死で足を動かして、人気のない路地へと入り込む。
そこで、僕の足は動かなくなってしまう。もう体力の限界だった。これ以上はもう一歩も動けそうに無い。
「くぅ……普段運動しないからこんなことになるんだ……!」
自分自身に悪態を付き、固まった足を叩いた。
そんなことしている間にも、背後の足音は近づいてきていた。僕は少しでも離れようと、足が動かないなら這ってやると匍匐前進の要領で路地の奥へ奥へと進んだ。
「……もう追いつかれたか」
ずしんと一際大きな地面を踏み抜く音と同時に、背後から奇妙な笑い声が聞こえた。明らかに人ではないと確信した。
振り返ると、やはり聞いたとおりの鬼がそこにいた。鬼は口元を大きく歪ませて、口から涎まで垂らして僕を見ていた。きっと、僕がごちそうに見えているのだろう。
辺りを見回すけれど、路地のかなり置くまで入ったため、人気は無い。窓や扉はあるけれど、その向こうに人の気配はかんじない。きっと、誰も僕の元に駆けつけたりはしない。
もう諦めるしかなかった。
「……もう少し、だったのにな」
呟いた僕の元へ鬼が近づき、鬼はその大きな両腕を持ち上げた。
そして、勢いよく僕の顔面へと振り下ろされる。僕は両手を前に突き出した。
「はい、終わり」
僕が言うと、鬼は素っ頓狂な声を上げた。そして、突然苦しみだす。その胸元には、お札が一枚貼られていた。当然、僕が今しがた貼ったものだった。
鉄板で肉を焼くような音を立てて、お札の周囲から鬼の体が溶け出し始める。やがて最後には、一枚のお札を残して鬼の体は消え去った。
「この鬼が霊力を把握できるような奴じゃなくてよかった……」
僕は安堵しながら、服に吐いた埃を払って、そそくさとお札を回収した。
そうして、すぐにその場を離れるべく、整ったばかりの息を荒らげて走り出した。向かう先は、すぐ近くにある神社。僕ら陰陽師の拠点だった。
「神社に貼られてる人除けの結界まで行きたかったんだけど……誰にも見られてないよね……?」
僕は暗い暗い夜道を駆けながら、そう呟いた。