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近況報告と短編8

どうも、茶畑紅です。

この日課になった近況ノートもようやく一週間が経ちました。まだまだ日は浅いですが、改めて小説を書くというのは難しいことなんだなと感じました。だけど、くじけることはせずにこれからもがんばっていこうと思います。

では、以下短編です。
今回はランダムワードからはまったく展開が思いつかず、ふんわりとした構想から、「いいや! 書いてしまえ!」と書き始めました。ちなみに、昨日もそんな感じでした。
ですが、やはり起承転結を先に決めなかったせいで落ちも弱いし、中身も非常に薄い物語になってしまいました。いくら思いつかなかったとはいえ、見切り発車はするべきでないと身にしみて感じました。次からはそう言うところも気をつけていこうと思います。



・短編 お題『チーズバーガー』『変装』

主人公は国民的アイドルで、テレビでの印象はお金持ちでグルメ。お金持ちなのは実際あっているが、グルメという点においては本

的に思うところがあった。確かに、舌は肥えているし、数々のグルメ番組で食レポしてきた。その経験から、高いものはやはりおい

しいという結論にも達していた。だけど、大好物は某ジャンクフード店のチーズバーガーだった。お金持ちだったが故に、そういっ

たものが好きになった可能性もある。
だけど、主人公はプロ意識が高く、テレビでのキャラクターを崩すことはやってはいけないことと思っている。だから、街に出ると

きには変装にかなり気を使っている。服装、メイク、帽子、眼鏡、マスク等はもちろんのこと、ウィッグをつけたり口調や声音を変

えるなんて事もしている。
そして、ある日。某ジャンクフード店では、超ウマイ! と謳った新たなチーズバーガーが発売された。我慢できずに早速味わおう

と、変装をして街に出た主人公は、歩きなれた道を通ってお店へと急ぐ。変装にもなれたもので、誰一人として自分に興味を示す人

はいなかった。そして、ジャンクフード店に着き、意気揚々とチーズバーガーを注文して待つ。出来上がったとの知らせを聞いて受

け取りに行き、店内の一席を陣取って早速袋を開けた。
さあいざ一口! と口を開いたとき、近くで子供が羨ましそうにこちらを見ていることに気付いた。



 私は国民的アイドルグループの内の一人。私たちが行うライブのチケットはいつも完売するし、ゴールデンタイムにチャンネルを

回せばどこかに必ず出演している。ツイッターのフォロワーも200万人を超えたところだし、世界的にも結構有名で、恐らくこの国

で知らない人はほとんどいないと思う。
 そんなアイドルグループで、お金持ちキャラ兼グルメキャラを担当している私は今、変装に変装を重ねて都会の街中を歩いていた



(むふふ、誰も気付いてない。やっぱり私の変装は完璧ね!)

 なんて心の中でほくそ笑みながら、自分の格好を見下ろした。
 今日のコーデのコンセプトは、男受けはそれなりだけど女受けはすこぶる悪い、ぶりっ子系ゆるふわ女子だ。茶色に染まった巻き

髪と、花柄のふわっとしたブラウスが特徴の、何処にでもいそうな女の子を演出できていると思う。マスクと眼鏡はしてるけど。
 なんにせよ、これなら誰にもばれたりしないだろう。私は意気揚々と目的地へと向かった。

「お、早速ありますね~」

 とあるお店の前に着き、その入り口の両脇に立てられたのぼりを眺めた。
 そこには大きく、『超ウマイ! 新発売チチチバーガー!』などと書いてある。ちなみにチチチはチーズチーズチーズの略らしい


 これが私の目的。某ジャンクフード店の新発売チーズバーガーを食べる、というものだった。

「楽しみだなあー」

 一頻りそののぼりを眺めた後、私はルンルン気分で入店した。
 カウンターへと向かう列に並び、掲示されたほかのハンバーガーたちを眺めながら待つ。どれも私の目にはすごくおいしそうに映

った。もうよだれが出てしまいそうなくらい。

 もし今私の正体がばれたりしたら、きっとアイドルとしての私を知っている人は失望してしまうだろう。なぜなら、さっきも言っ

た通り、私はグループの中でお金持ちキャラ兼『グルメキャラ』を担当しているから。
 私は週に何度もグルメリポートをする番組の収録をする。特に高級料理店のグルメリポートを任せられることが多い。たまにどち

らが高級料理か安物料理かをあてるような番組にもでる。ちなみに間違えたことは無い。
 そう言うこともあって、実際に実家もお金持ちだし、舌が肥えていると思われている。
 だけど、実際はこういったジャンクフードを愛する、庶民よりも庶民な味覚を備えているのだ。いつも番組で「好きな食べ物は?

」と聞かれたときに、「海鮮系が好きですね。特にマグロの大トロとか、アワビとか……あと、カキとかも好きですね」なんて答え

ているけれど、実際は「マ○ク! マ○クのチーズバーガー!!」と叫んでる。それが私の実態だった。

 だから、私はファンのみんなの夢を壊さないよう、こうして変装までしてチーズバーガーを食べに来たと言うわけだった。

「ご注文をどうぞ」

 ようやく列が捌けて、私の番が来た。にこりと微笑んでくれる店員さんに、同じように笑顔を作って私は言った。

「あいなこのちちちーずばーがーがたべたいんですぅ」

 できるだけ間延びした、喉の奥にからみつくような声音で注文した。正直やりすぎかなと思ったけど、このくらい普段と変えない

と、熱心なファンの方にばれてしまうかもしれない。だから、少しばかり恥ずかしいけれど、そこはプロ根性で顔に出さないように

演じた。ちなみに、あいなと言うのは咄嗟に思いついた偽名である。

「チチチーズバーガーですね。単品でよろしいですか?」
「はぁい~」
「かしこまりました。390円になります」

 店員さんも慣れた様子で、笑顔を崩さずに対応してくれた。内心どう思っているのかはわからないけれど、私に負けず劣らずプロ

根性が座っているなと思った。そのおかげで私もあまり緊張もせず、お金を払い終えた。

「では、こちらの番号でお呼びしますので、少々お待ちください」

 レシートを渡されて、列から離れた位置で待つ。私はその間もうきうき気分でいた。
 しばらくして番号が呼ばれ、私はチーズバーガーを受け取りに行く。袋を持って、一応中身を確認して間違いないと頷き、端のほうで空いてる席へと向かう。このまま店内で食べていくのが私の流儀だった。
 というか、買い食いするとなるとマスクを外さないとだし、ばれる危険性があがってしまう。でも家に帰ってからだと冷めてしまうから、最低限隠せる店内のほうが最適なのだ。

「では、頂きます」

 いつも通り手を合わせ、袋からチチチバーガーを取り出して包みを半ばまで開く。そしてそのまま口へと運んだ。この動作もなれたものである。

「ん~!」

 頬に手を這わせて、声を漏らす。チーズ3倍ということで、いつもよりさらに体に悪そうな味がたまらなかった。
 手は止まらずどんどんと食べ進めて、あっという間になくなってしまう。正直に言えば全然足りないけれど、アイドルとして体重管理は重要なので追加を注文することはせず、余韻に浸るだけに留めておいた。

 そのまま緩んだ頬をマスクで隠して、店内を出る。来たときに見たのぼりがまた目に付き、おなかがくぅーとなったけど、ぐっと堪えて帰路に着いた。
 食べたくなったのなら、またくればいいのだ。私の変装は今日も見破られる様子は無かったし、何も問題はない。アイドルとしては問題なのかもしれないけれど、ばれなければ犯罪ではないのだ。

 今日も今日とて、変装してチーズバーガーを無事に食べることができた。ミッションコンプリートだ。

 満足して私はスキップしながら家路を辿った。


 数日後、この時に食べたチーズバーガーが忘れられず、凝りもせずにまた変装してやってくるとなぜかばれてしまった。そしてネットニュースにまでなって、私がこれまで積み上げてきたお嬢様キャラが崩れ去り、世間の認識が食いしん坊キャラに変わってしまったのはまた別のお話。

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