どうも、茶畑紅です。
昨日は投稿が遅れてしまったので、今日は早めに投稿しました。まあ、たまたま時間があっただけなんですけど。
ところで、僕の名前からもわかるとおり、僕は紅茶がすきなんですけど、実はスーパーで売っている紅茶しか飲んだことが無かったんです。そんな僕が、先日世界のあらゆるお茶を取り扱っているお店で、本格的な紅茶の茶葉を買いに行ったのですが、そこで気になることがありました。
並んでいる茶葉の名前に『アールグレイ』『アールグレイ・ダージリン』『アールグレイ・オレンジペコ』等々、頭にアールグレイがつく茶葉がいくつかあったんです。僕はさっきも言ったとおり、スーパーの紅茶しか買ったことがなく、アールグレイと言うのは紅茶の種類の一つだと思っていたんです。だから、どうしてどれもアールグレイなのかがわからず、店員さんに聞きました。そうしたら、アールグレイと言うのは、茶葉にベルガモットの香りをつけたもののことを言うのだとおっしゃっていました。もしかしたら僕が知らなかっただけなのかもしれませんが、少なくともそのときの僕はすごく驚いたんです。そんな僕に追い討ちをかけるように店員さんは、緑茶のアールグレイもありますよといいました。もうびっくりしすぎて、思わず僕はその緑茶も買ってしまいました。
ちなみにこれを書いている最中にに飲んでいるのはそれです。一緒に買ったアールグレイと同じような香りがあるのに、芯となった味はしっかり緑茶で、気に入ってしまいました。
と、少し脱線してしまいましたが、そんなことがあったため、紅茶が好きならもっと勉強をしなきゃなと思ったという話でした。
ちなみに、少し調べたらオレンジペコも紅茶の種類とはまた少し違うみたいなので、もしまた機会があればそちらについても振れてみようかなと思います。
では、長くなってしまいましたが、短編を置いていこうと思います。今回は今までの反省から、綺麗な終わり方を意識して書いてみました。まだまだ拙い文章ではありますが、うまく書けたほうだと思っているので、もしよろしければ見てやってください。それでは、茶畑紅でした。
・短編 お題『ボンネット』『カブト虫』
季節は初夏。きっとこれからどんどん熱くなるだろう、そんな季節。
私はスーツを着込んでカバンを持ち、玄関を開いたまま固まっていた。
「あっつ……」
まだ七時台だけど、照りつける日差しは手で遮らないと浴びたくないくらいだった。まだまだ夏は始まったばかりだというのに、太陽は気が早いんだな。なんて嫌味なことを思ってみた。
でも、そんなことで固まっている場合ではないことを思い出す。今日は大事なプレゼンテーションの日だ。いつもより少しだけ早い時間に出るところだけど、事前に資料をもう一度確認しておきたかったし、そんなにゆっくりしている暇は無いだろう。
通勤に使っている軽自動車に近づき、ドアに触れることで鍵を開ける。そのままドアを開き、カバンを助手席に放り投げてから自分も乗り込んだ。
「ん? なにあれ」
そうしてエンジンをかけようとしたとき、フロントガラスの向こう側で、ボンネットの上になにやら黒い小さくないものが乗っていることに気付いた。
気になった私は車から出て、その黒い物体へと近づいてみる。そうしたら、実際はそれが黒い物体ではなく、こげ茶色の生き物だということがわかった。
「カブト虫?」
一言呟いて、指先でつんとつついてみる。すると、カブト虫君は軽く身じろぎして、少しだけ位置を変えてまた動かなくなった。死骸とかじゃなくて一安心。
何処から来たのかと考えたが、それはすぐにわかった。家からは少しだけ離れているけれど、すぐ近くに雑木林がある。きっとそこから飛んできたのだろう。
「そこ、熱くない?」
そう言って語りかけてみるけれど、当然カブト虫君に人の言葉がわかるはずもなく、微動だにしない。大丈夫なのかなとボンネットに触れてみると、やけどしそうな熱さではないけれど結構熱を持っていた。
カブト虫って、熱に強いのだろうか? と疑問に思いながら、しばらく様子を見てみることにした。
「……確か、カブト虫って自分の体重の20倍くらいの重さなら動かせるんだったよね」
眺めている最中、なんかの本で読んだそんな豆知識を思い出していた。
自分の体重の20倍って、私で換算すると約900キログラムにもなる。そう考えると、びっくりするくらい力持ちなんだなと感心してしまった。
「すごいんだね、君」
呟きながらまたつついてみる。カブト虫君は煩わしそうにしていた。
でもそっか。カブト虫ってはたから見ると絶対に無理と感じるような重さのものでも運ぶことが出来るんだ。それに比べたら、私は本当にだめだめだなあ。
なんて、なぜそんなことを思ったのかというと、今回のプレゼンテーションの内容が、私には荷が重いものだと感じていたからだった。上司に信頼していると託されたことだけれど、まだ下っ端気分でいた私は絶対に無理だと思っていた。
だから、そんなカブト虫君の姿を見ていて叱責されているような気分になったのだ。
僕ははたから見ると無理と思わせるほどのものを動かせるのに、君は上司にできるといわれたこともできないのかい? なんていう風に。そう思ったら、びっくりするくらい元気が湧いてきた。
「ありがとね」
相変わらず私のことなんて気に懸けていない様子のカブト虫君に、一言お礼を言って微笑んで見せた。なんだかこんなに晴れやかな気分になったのは、久しぶりな気がする。
思えば、ここ最近はプレゼンのことばかり考えてしまって、色々うまくいってなかった。今更になってそれに気付く……ううん、気付かせてもらうなんて、自分ではあまりわからなかったけれど、私は相当参っていたのかもしれない。本当にこのカブト虫君には感謝感謝だった。
「お姉さんちょっとこれから頑張ってくるから、君はこっちで待ってて」
そんな風に声を掛けて、手を伸ばす。
何はともあれ、さすがにこのまま車を出すわけにはいかなかった。動き出せば驚いて逃げていくかもしれないけど、途中で振り落とされた大変なことになってしまうかもしれない。だから、カブト虫君にはどいてもらうことにした。
短いほうの角を指で摘まんで、花壇のほうへと運んであげる。多分熱いボンネットよりはこっちのほうがいいはずだ。なんなら、このまま私の手を振り払って雑木林のほうへ帰ってくれてもいい。
そんな風に思いながら、優しく土の上におろしてあげて、私は車へと戻った。
「よし!」
一つ気合を入れて、車のエンジンをかける。
なんだかんだいつもと変わらない出勤時間になりそうだけど、昨晩何度も資料は確認したし、今更見なくても大丈夫だろう。少し頭をめぐらせれば、内容もしっかり思い出せる。後は本番で真っ白にならなければいいだけだ。カブト虫君のおかげで緊張も薄れたし、それはもう大丈夫だろうけど。
そうしてまた笑顔になりながら、私は会社へと向かったのだった。
※
「くぅー、疲れたぁー!」
日が完全に落ちた頃、私は家に戻ってきた。車から出ると、指をからませて頭上に掲げ、固まった体をほぐす。
ちなみにプレゼンテーションは無事大絶賛で終えることが出来た。ついでに上司からも君に任せてよかったとも言われてしまった。
本当にいいこと尽くめの一日で、私はこれまで無いくらい充実感を感じていた。
「あ、カブト虫君」
そうして、ルンルン気分で玄関へと足を向けると、今朝勇気をくれた恩人を思い出した。離してあげた花壇のほうへと足を進めてみる。
「……うーん、やっぱりいなくなってるかー」
スマホのライトで照らして探してみたけれど、カブト虫君の姿は何処にもなかった。一応花壇の周辺も確認してみたけれど、やっぱりいない。きっと雑木林のほうに帰ったのだろうと思った。
それならそれでいいと、溜息を吐いて星空を見上げる。
「ほんと、ありがとね」
聞こえていればいいな、なんて思いながら私は呟いた。
「……あ、カバン」
そうしたところで、ふと車の中にカバンをおいてきたことを思い出し取りに戻る。すると……。
「……いるじゃん」
いつの間にか、朝と同じように車のボンネットの上にカブト虫君がいた。
車を止めて降りたのはついさっきなのに、本当にいつの間に。というか、なんでそんなにボンネットがすきなのだろう。
などと考えながら私は苦笑して、無駄にならなくてよかったと思いながら、車の中からカバンと一緒に置き去りにしたエコバッグを出した。
「君、そんなにこの私の家が好きなら、一緒に住んじゃう?」
そう言って、私はエコバッグの中から、カブト虫の飼育セットを取り出して見せた。心なしかもぞもぞと動くカブト虫君の様子は、なんだか嬉しそうに見えた。
それが、気のせいじゃなかったらいいなと私は思うのだった。