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近況報告と短編3

茶畑紅です。

今日で三回目。三日坊主の壁が迫ってきました。これからも欠かさずがんばろうと思います。
ちなみに、いつもどうやってお題を選んでいるのかですが、僕はとあるサイトを使わせて頂いてます。ランダムで単語を生成してくれるものなのですが、僕の場合10個の単語を生成して、その中からあらすじの思いついた組み合わせを抜き出して使っています。10個の内から2つなのが少しずるい気もしますが、そこは初心者なので仕方ないことにしていただければと思います。以外と面白いので、皆さんも試してみてはどうでしょう?

では、以下短編です。思いつくままに書きましたが、書いてる途中で僕に食レポは無理だなと感じました。でも、楽しくはあったので、機会があれば勉強してもう一度書いてみようかなと思います。
ちなみに、作中の料理についてはまったく架空なので、本当においしいのかどうかはわかりません。作ろうと思った際には、自己責任でお願いします。





・短編 お題『リブロース』『チリビーンズ』


「……おいおい、はじめてにしては上出来すぎないか?」

 自宅で一人、テーブルに並べた料理を見て、感嘆の声を上げた。
 自炊はずっとしていたが、こんなにも完成度の高い料理を作ったことはなかった。いつもは、炒飯とか野菜炒めとかカレーとか、THE男の料理みたいなものしか作らない。商店街の福引でたまたま高級そうなリブロースが当たったから、ちょっと凝ってみようとした結果だった。それがまさかこんなにうまくいくなんて。

 一番感動したのは香りだ。
 まず最初に感じたのは、むわっと部屋中に広がる高級な肉の香ばしい匂い。そして、次に鼻を抜けるのは、チリチリと喉がかゆくなりそうな唐辛子の香り。肉と辛いものが好きな俺にとって、どっちも最高の香りだった。

 次は見た目だが、これもかなり良い。
 肉は薄くスライスされていて、外側は茶色い良い加減の焼き色、内側は心惹かれる薄ピンクだ。うん、これぞまさに想像通りのローストビーフ。
 そして、そんな肉たちを山になるようにぐるりと重ねて並べ、その頂点には真っ赤なソースがかかっている。
 いや、これはソースではない。俺が最近はまっている、チリビーンズという料理だ。それに、ローストビーフを作るときに出た肉汁を使って、ソース風にアレンジしてみたのだ。

 ……うん、絶対合うだろこれ。

「だめだ……我慢ならん。食べよう」

 自分の作った料理に、心の中でたらたらと賛辞の言葉を並べていたが、もう限界だった。
 時間は夜の10時30分。調理は4時くらいから始めたが、いろいろあって完成はこの時間になってしまった。もちろん、調理している最中から俺の腹は大合唱していた。このままでは餓死してしまうんじゃないか? なんて、思うほどに俺の体は目の前のローストビーフを欲していた。普段より少し時間が遅れただけでそんなわけないけど。とにかく、早く食べたかった。

「いただきます」

 椅子に腰掛け、きっちりと手を合わせてから箸を持つ。
 まずは、一切れ持ち上げてみた。

「透けて……はないな……」

 薄い色だから蛍光灯の光が透けて見えるかなと思ったが、そんなことは無かった。というか、欲張って厚めに切ったから、良く考えたら当たり前だった。

「……よし、行くぞ」

 一度喉を鳴らし、気合を入れてから、一口で食べた。
 柔らかい噛み応え。そして、噛むと同時に口に広がる精錬された肉、肉、肉の味。これぞ人間の好きな味、そんな感じだった。
 だけども、重さやしつこさや生臭さは感じず、噛み切れないなんてことも無いから、飲み込んだ後の口内は不思議とすっきりとしていた。さすが、高そうなだけある。

「ほぁあ……」

 思わず、情けない声が出た。働き始めてから苦節10年、こんな声を出したのは初めてだった。たぶん。

「あ、これ忘れてたな」

 そう呟いて、土台を一枚失って雪崩を起こしそうになっている、真っ赤なソースをみた。
 少し掬って、一切れの上に乗っけてみる。そして、包み込むように肉を丸めようとした。

「うわ、だめだ、厚過ぎる。いいや、このまま行こう」

 欲張ったせいで丸めることが出来ず、ソースを乗っけたまま一切れを口に運ぶことにした。
 口に放り込むと、一気に汗が噴き出した。荒れ狂うような唐辛子と、微かに感じる豆の味。そこまでは良く作る今までのチリビーンズと一緒だ。だけど、今回はその中に何か芳醇な味わいを感じた。恐らく、肉汁のおかげだろう。
 少し辛くしすぎたかもしれない、と一瞬思ったが、ローストビーフがオアシスの役割を担ってくれてこれくらいで正解だったなと思いなおした。

 ああ、やっぱり予想通り。合う。もう、だめだ。

 そこからは一瞬だった。
 どんぶりを持ち上げ、実は下に隠れていた白米と一緒にかき込むようにして食べた。一枚一枚味わって食べたほうが良い、と言うのはわかるけれど、やっぱりもう我慢の限界だったのだ。思ったとおりリブロースのローストビーフと、チリビーンズ風ソースの抜群の相性で、このために用意しておいたちょっといいお米が瞬く間に消えていった。

「……ごちそうさま、でした」

 思わずいつもより丁寧に食材への感謝を述べて、はしをおいた。
 なんだかすごく、名残惜しい。けど、満足はした。おなかもいっぱいだし。

 使った食器やら何やらを流しに突っ込み、ソファに座った。そして、目を瞑ってみる。
 頭に思い浮かぶのは、先ほどのローストビーフばかりだった。でも、それではダメなことはわかってた。

「明日は会議だ……」

 呟いたら一気に現実に戻されて、かばんから資料をあさって取り出した。そして読みふける。
 でもやっぱり頭の片隅には、ローストビーフがいた。

「だめだこりゃ。ま、何とかなるか」

 もう集中できる気がせず、資料を放り出して、ベッドにインした。
 また目を瞑ると、どどんとローストビーフ。
 うん、眠ったら夢で食べれるかな。
 そんなことを考えながら、俺は眠ることにした。

 機会があったら、また作ってみよう。
 そう思って、高い肉が無いから無理かと思いなおし、薄く笑った。

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