茶畑紅です。
早速ですが、近況ノートは出来るだけ毎日書くことにしました。その理由は、小説を書くことを習慣付けたいなと思ったからです
。
僕は三日坊主常習犯なので、習慣付けることがどうも苦手なんです。執筆作業がいままでずっとうまくいってないのも、この習慣
づけが出来ていないことが一因なんだろうと思います。
毎日執筆を続けるのが難しくて、その上一日で書き終わらない長さの作品を創り出そうとしているせいで、日をまたいで稚拙な文
章にしか思えなくなりやめてしまう。この繰り返しになってしまっているんだと思います。
だから、稚拙な物語でも良いから書き上げて投稿できるように、毎日書くことにしました。どんなに酷い文章の物語でも、書き上
げてみないと身にならないと思いますから。
ですので、もしこの近況ノートを見ている方がいたら、温かく見守ってくださるととてもありがたいです。
では、以下に短編を置いておきます。内容は恋愛ですが、告白シーン下手すぎて泣きそうです。終わり方も下手だし、反省点だらけですね。今度告白シーンのある作品や終わり方の綺麗な作品を見て回ってみようと思います。
・短編 お題『セロテープ』『ハッピーエンド』
「んむむ、ほんとにこれで良いのかな……」
唇を尖らせて唸りながらそんな風に呟く彼女は、やはり可愛いなと思った。俺は自分に割り振られた作業そっちのけで、壁や天井
に貼り付ける装飾の製作に没頭する彼女の横顔ばかりを見ていた。きっと気付かれたら怒られるだろうけれど、それも別に良いかと
考えていた。
今日は文化祭の三日前。俺達のクラスは喫茶店をするということで、料理班と衣装班と設営班にわかれて準備をすることになって
いた。
俺はそのうちの設営班、さらにその中の装飾の製作に従事していた。といっても、装飾品自体はもうほぼ完成していて、その最後
の仕上げを今俺と彼女の二人でやっているところだ。ちなみに教室にはなぜか俺達二人しかいない。
ただ、さっきも言ったが俺は作業をしていない。視線はずっと彼女を捕らえていて、手は色のついた紙をくしゃくしゃにして作っ
た花らしきものを握ったまま固まっていた。
その理由は単純にして明快。彼女をずっと眺めていたかったからだ。要するに、俺は彼女に片思いしていた。
「んー……あまり綺麗じゃないけど別にいっか。皆も許してくれるでしょ」
作業に集中すると、時たま彼女はこうして独り言を呟く。多分心の中で思っていることを気付かず口にしてしまっているのだろう
。
うん、そんなところもやっぱり可愛い。そう思ってしまう俺はよほど重症だった。
「ねえ加藤ー、セロテープとってー」
そんな風に眺めていると、不意に名前を呼ばれて俺はハッとした。
幸い彼女は自分の手元しかみてなかったから、俺がサボっていることには気付いていない。ほっと胸を撫で下ろしながら、そばに
転がっていたセロテープを取って、彼女へと声を掛ける。
「はいよ」
そう言ってセロテープを突き出すと、彼女は手元を見るのをやめて、セロテープを受け取るべくこちらに向き直って言った。
「ありがと」
ドクンと強く心臓が脈打ったのがわかった。
手元の紙で出来た花なんて比ではないくらい華やかな笑み。脳みそが叩かれるような感じがして体が震えた。そして固まった。
「え、あれ……加藤? セロテープ離してくれないと使えないんだけど……というか、作業して無くない?」
彼女が何かを言っているが、俺の耳には入っていない。
たった一つの仕草と言葉で、俺の中で好きだという気持ちが荒れ狂っていた。爆発するようなその想いが、俺の頭をおかしくさせ
ていた。心のうちに潜む誰かが、告白するなら今じゃないのか、と何度も耳元で叫んでうるさかった。
衝動の赴くまま、俺は彼女の両肩をがっしりと掴んでいた。
「え! なになに!? ちょっと、怖いんだけど!?」
そうだ、今なら教室にいるのは俺と彼女だけ。こんな絶好の機会もう一度も無いかもしれない。
そう思ったら、もう勝手に口が動いていた。
「好きだっ!」
半分やけっぱちになりながら叫ぶと、彼女は面食らった様子で、小さくぼそぼそと呟いた。
「……え、あ、うん……私も……」
……今なんて?
「……あ、違う。今のは違う」
俺がうまく咀嚼できずに半ば放心状態となっていると、彼女は真っ赤になった顔を両手で覆うようにしてそっぽを向いた。
違う? 違うって何だ? 今俺振られたのか? 混乱しすぎて良くわからなくなってきた。
しばらくの沈黙。胸がじくじくと痛み始めた。
「ってもう! 今更取り繕っても意味無いじゃん! もうちょっと心の準備させてよ!!」
そして突然、今度は真っ赤な顔のまま喚く様に彼女は怒鳴ってきた。
その内容にまた驚き、今度は胸の痛みが無くなって熱を持ち始めた。
「あれ、え、あれ? ということは、俺と付き合ってくれるってことか?」
「……え、うん、両想いだし、そうなるんじゃない? 嫌なの?」
「あ、いや、嫌なわけないけど……よ、よろしく」
「うん……よろしく」
気付いたら、何故か二人でぺこぺこと頭を下げあいながら、握手を交わしていた。そのぎこちなさがなんだか妙に恥ずかしかった。
でも、そうか……俺達って両想いだったのか……。なんだろうこの気持ち、嬉しすぎておかしくなりそうだ。
またしばらく二人の間を沈黙が包み、気まずくなる。だけど悪い気分ではなかった。
「じゃ、じゃあ、えっと、文化祭、一緒に回ろうな」
「うん。楽しみにしてる……」
とりあえず何か伝えようと思って、そんな約束を交わした。
その後は二人で黙々と作業をこなし、家に帰って悶えて、次の日にはクラスで広まって祝福された。
かくして、俺たちは幸せなカップルとなった。
ちなみにそのときの告白は『セロテープ告白』と称されて、今もずっとからかわれ続けている。でもそれも、悪くは無かった。