『加須 千花』様の作品です。
https://kakuyomu.jp/works/16817330667140952851奈良時代を舞台にした、ラブコメ・恋愛もの となっております。
カクヨムのジャンル定義だと
ラブコメ=男性主人公の男性向け 恋愛もの=女性主人公の女性向け ですが。
この作品の場合は両方を同時に満たしている、男女ダブル主人公なのが特徴その①です。
男性主人公は、奈良時代の戦場で無敵と呼ばれた武将の男。
戦では常勝無敗の彼ですが、とあるコンプレックスを引きずるせいで、女というものが怖くて、彼女いない歴=年齢を更新中というアラサー男子。
このコンプレックスの原因になった事件というのが、男、として可愛そうすぎてね。
いっそのことその場で殺してあげてくれってくらいに。
男性読者が応援したくなっちゃうこと請け合いな奴なんです。
しかし、ある日、そんな彼も上司の命令でお見合いすることが決まってしまう。
その相手というのが、絶世の美女でありながら、数々の縁談において、見合い相手の男どもをケチョンケチョンに返り討ちにしたという、女性主人公たる最恐の令嬢。
振られた男どもは、それは惨めに逃げ帰ったという。
そう、つまり、戦場では無敵でも、女が怖い彼にとって天敵とも呼べる相手。
それとお見合いしなきゃならないというのだから、びびりまくる。
そこで彼は怖すぎる縁談を回避するために、捨て身の奇策を思いつくんですね。
わりとろくでもない方法です。
でも、このせいで思ってもみない方向へ、事態が進み出し――。
絶対に出会っちゃいけないくらい相性最悪なはずの二人が
絶対に出会っちゃいけないシチュエーションで出会ってしまう。
けどね。この令嬢もいろいろと訳ありだったりするわけです。
なんでそんなに男性相手にツンツンしてるのかも深い理由がある。
そんな人物造形の深さが、この作品の特徴その②
武将も令嬢も、憧れてしまうくらい格好いい部分がありながら、
自分ではどうしようもない悩みを抱える等身大の人間として描かれるから、
憧れる部分と同情しちゃう部分っていうギャップのせいで、キャラにすごく厚みを感じるんですよね。
そんな二人にそれぞれ感情移入しちゃうから、ダブル主人公がなりたってます。
特徴その③としては、ガチな時代考証がされ、雰囲気も時代物っぽさを感じさせてくれながらも、読みやすいという点。
単語や用語は当時使われたものがそのまま使われてたりしますが、
あくまでそれは解説されなくてもスッと理解できる範囲だけで、読みにくさはまったくない。
口調や文法など、読みやすさに直結する部分はラノベを読む感覚で読めるので、構える必要まったくなしです。
誰でも楽しめます。
それでいて、ときどき和歌を挟んでくれたりするのですが、これがまた雰囲気ばっちり。
歌の意味も解説してくれるので、雰囲気にひたれます。
こんな方にオススメ。
:でこぼこミスマッチなカップルが、だんだん心を通わせていく恋愛物が好きな方
:じれったくも甘いシチュエーションに、キュンキュンしちゃいたい方