みゆき様の作品です。
作品URL
https://kakuyomu.jp/works/16818093073442869267タイムスリップものでございます。
が、お約束とはかなり毛色が違った変わり種となっております。
タイムスリップものの定番ストーリーというと。
現代で何か大きな問題が起こったので、過去にもどってその原因を取り除いて解決する。
とか
未来で問題が起こるので、現代でその原因を解決する。
といった物が主流です。
これは言わずと知れた、このジャンルの歴史的名作『バックトゥーザフューチャー』や『ターミネーター』がまさにその代表です。
この作品の場合はそうじゃないんですね。
時間を遡って歴史を改編することを目的としていません。
主人公の目的は、とてもシンプルなんです。
『過去に戻って、幸せだったころの家族の笑顔を、もう一度だけ見たい』
これだけなんです。
というのも、主人公はだいぶ不幸な生い立ちで、能力こそ優秀だけどプライベートでは恵まれず、家族が不幸な結末を迎えてるんです。
幸せだったのはほんの一時期だけなんですね。
主人公自身もすでに末期ガンを患っており、死を目前に控えてる。
その最後の願いが、せめてもう一度だけ、幸せだったころの家族の笑顔を見たい、というわけなんです。
しかも、一度過去に遡ったらもう二度と、現代へは帰って来れない。
文字通りの最後の願い、主人公はそれへと挑むわけです。
ところが、タイムスリップ自体は成功したものの、何やらだいぶ様子がおかしい。
なんと、転移した先の過去で〝人間以外のもの〟になってしまったんですね。
さらにさらに、転移した時間というのが、両親が結婚する前、恋人にすらなっていない段階。
主人公がタイムスリップして彼らに影響をあたえてしまったせいなのか、二人の関係はどうも進展しない様子。
このままでは、家族の笑顔をもう一度見る、ことはできないかも知れない。
ならばやるしかない。
〝人間以外の姿〟だとしても、まだ学生だったころの両親の恋愛が成就するよう全力で援護射撃をすることを!
と、バックトゥーザフューチャーを片道切符にしたような作品なんですね。
この、片道切符、が肝でして。
二度と現代に戻れない覚悟感と、主人公の最後の願いへの強い思いがシナジーして、とっても良い感じに感情移入を誘います。
そこから、最後の願いを叶えるための主人公の奮闘が始まるわけで、ついつい応援したくなっちゃう物語となっております。
こんな方におすすめ
:バックトゥーザフューチャーが好きな方。
:死を目前にした主人公が、最後の願いを叶えようとする物語が好きな方。