焔コブラ様の作品です。
https://kakuyomu.jp/works/16817330648303393429舞台は近未来、となっていますが、ほぼ現代の日本。
一見は平穏な社会の裏側で吸血鬼が暗躍しています。
この作品における吸血鬼とは、人の血を食らう人類の天敵。
戦いを好み、嗜虐と殺戮を嗜む者も多い、おおよそ共存が不可能な種属という位置づけです。
主人公はある日、そんな吸血鬼に襲われたことが切っ掛けで、奴らを狩る組織に参加することになります。
と、ここまでだと、鬼滅の刃の現代版、といった印象かもしれませんが、この作品の読み味は、少年バトル漫画じゃないんですね。
じゃあ、何かと言えば、戦争物、です。
私は『プラトーン』や『西部戦線異状なし』なんかを彷彿としながら読みました。
なにしろ、作中でフォーカスして描かれるのは、悪者と正義の味方のバトルアクション、という代物じゃないんですね。
吸血鬼という最悪な奴らと、そんな最悪な奴らが暴れ回ってる状況を利用して、もっと良からぬことを考えてる人間側の組織の血で血を洗う戦いが描かれるからです。
ぶっちゃけ吸血鬼より人間のほうが邪悪っていうのが、面白い。
主人公は純粋に吸血鬼を成敗することを信念に戦いますが、上官たちがろくでもねえんです。
組織内の権力争いばっかり注力していて、現場の兵士のことなんざなんも考えてない。
対立する幹部をおとしめるために、わざと失敗する任務が宛がわれるなんてことも日常です。
そんなくだらない任務で死ぬことになるのは、現場の兵士たちなわけで。
理不尽、ここに極まれり、なんですね。
邪悪な吸血鬼を滅したい主人公の純真さが、もっと邪悪な人間たちによって翻弄されまくる。
彼が吸血鬼を狩る者たちへ抱いていた憧れは、やがて失望に。
希望は絶望に。
そんな状況の中で、彼はいったいどんな戦い続ける理由を見つけることができるのか?
純粋だった彼は、戦場でどのように変わっていくのか?
こんな方にオススメ。
:王道少年漫画の設定なのに、ストーリーがガチ戦争物を読みたい方