昔々の話のついでの+(プラス)の昔にアルバイトをしていた通産省の研究所で有った話です。
そこは普段、無重力下の有機金属の生育の観測をしていました。ですが、どういう経緯か農薬の実験もしていました。
どのような実験なのかと言うと、単純。
農薬を散布しない土壌でどのくらい作物が生育するのか?と言うものでした。
近隣の農家さんに交渉して土地を貸して貰う。
でも、素人なのでちっちゃい区画を貸して貰って、申し訳程度に地面を耕してトウモロコシの種を植えて(と、言うか適当に撒いて)、そいつの生育を見る、だけ。
…んー。
はなっから農家さんにそれなりの謝礼を用意して依頼した方が良かったんじゃね?
当時もそう思っていたし、今もそう思う。
農地というものは、本来的にはそう簡単に貸し出しなんてされないものです。
たまたま話を持ちかけた農家さんが、まとまったお金が居る!と言う瀬戸際だったのかも知れません。
どう、思います?
農家さんは適当にそこらの地面を耕して(ほっくりかえして)種撒いて、生えてきたヤツの世話をしてりゃあ何とかなるんじゃね?とか、知らなければそう思いますよね。
私だって詳しく知らない。
でも、そうじゃあないのよね。でも、ここでは、それはさて置きます。
農家さん的には、何だかよく分らんが、ウチの土地で何かしたいらしい。
それなりに見合う金額の実入りが有るらしいから承諾した。
それにしても…。
あまりにもド素人丸出しの、「なっていない!」振る舞いが散見されて、黙って見ていられなかった貸主の農家さんが貸したはずの農地の面倒を見始めてしまいました。
結果、どうなったのかと言えば、大豊作。
そもそも素人がたまに二人か三人かで出掛けて行って、見様見真似でテキトーに経営している農地ですから、本来的にはそんなことはあるはずもないにも拘らず、テキトーにばら撒いただけのとうもろこしが、すくすく育って丸々と太っていく。それが嬉しくないはずはない。
陣頭指揮をとっていた部長は大喜びで収穫に行って、両腕一杯に摂って来たトウモロコシを差し出して、「みんなで食べよう♪」とこちらに差し出しました。
研究室のコンロで湯を沸かして塩ゆでして、スタッフ一同で食べて満足した後に「豊作」の種が明かされて、同時に「今年」が無駄であった事を知らされました。
何故このような実験をしたのかと言えば、とある会社の「当社の農薬は一年を期限として自然分解して無害になります」と謳っていた農薬の事象実験でした。
ではまた翌年、もう一度チャレンジしようかというところでしたが、この研究所は、その翌年に解体されてしまったので、この研究は今も果たされていないと思います。