食べるために、一日の内8時間を不本意の内に過ごす。
自分の命を繋ぐための時間なのだから、不本意と言うのはどうかとも思うが、どう考えても好きでやっていることではない。
けれど、出勤途中のふとしたはずみにヴィジョンはやってくる。
休日にヘタっている時にはやってこない瞬間だから、これはやはり実益を兼ねた必要な時間なのだろう。
ヴィジョンと言うからには、何かを視て発想したのか?
違う。
いきなり頭の中に紺碧の夏空が展開する。
眼ではなく、脳が感知している。
頭のおかしい人じゃん!
そうだよなあ…。
他人に危害を加えなくとも、頭の変な人だ。
でも、私は子供の頃からこんなもんなのだ。
えええ、なんだこれ?と、見続けているうちに、「かくりょ」の次章の冒頭であることに思い至る。
ああ、次はこっから取り掛かれば良いのね。
納得しつつ、自動車に跳ね飛ばされないように、無事に交通機関を利用して職場に辿り着けるように、あれこれ対応しながらも、Lで70円也で購入した小さなメモ帳に今、目の当たりにした(架空なんだけどもさ)光景を書き付ける。思いついた限りのコメントも足しておく。
そうして昼休みには人目を避けて、本物の創作ノートに総括して書き写しておく。
視返すことは無い。
書いちゃったら、覚えているしね。