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トレモロ 1巻 2章 4話

スノーとクラウンはそれぞれギルドのポッドに入った。

ーアルバ山側へ補給物資を届ける、基地の解放をサポート、周辺のスピリット探査機回収の特別報酬、モジュール回収の特別報酬、全ての報酬を受け取った。全身が金色に3連続で光った。クラウンはレベル8になった。
胸が高鳴り、クエスト報告に小さく何度もうなずいた。

追加の通知が出た。
ーチョコのアビリティの感知度が上がりましたー
アルバ山の洞窟にマーキングポイントがついた。

「やっぱりアルバ山には何かあるのかな。」

ーモジュールの解析が終わり、エレメントスポットである事が判明しました。エレメントを回収してギルドにお持ち頂けると、新しいアビリティ「フレイヤ」が解除できます。出現時間30秒ー

ディスプレイには炎に包まれた女神が出現してクラウンと一緒に戦っている姿がリピートされた。

「ほー!これ絶対欲しい!」

退室を勢い良く押してポッドを出る。

スノーが入ったポッドはまだ閉じていて、中に居る様だ。
スノーのポッド正面の3dプリンターが稼働し始めた。
中を覗くと、大きな軽装プロテクターが出来上がっていく。

しばらくして、スノーが興奮して出てきた。
「スゲーよ。オレのアビリティ。おっと、500クレジット早速返す。ありがとな!シシッ!」

カウンターのタッチパネルの前に戻り、スノーはクラウンに送金してから、お互いのアビリティのシュミレーションで大盛り上がりした。

「さすがスノー。はあー疲れたー。僕の部屋で続きやんない?アビリティって自分で名前つけて登録しないと使えないから。」

「いいのか?オレのシャトルドッキングさせてくれ。」

「シャトル持ってるの?!見せて!」

うんうんうなずきながらスノーはご機嫌になった。

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シャトルがドッキングした。

「サイプレス号にようこそ。」

「カッコイイー!サイプレス、どーゆー意味?」

「オレの地元からとったんだ。永遠に生きるって意味でもあるんだ。」

「カッコイイ!うわっ何コレー?!」

「局員になって仕事してると、模型だの、トロフィーだのくれんだよ。オレからしたら、ギルドのお前のがカッコイイと思った。」

「僕が?」
信じられないといった顔で固まった。

「シシッ!ギルド儲かっていいじゃねーか。オレ達やピクシーエンジェルズに囲まれて、自分で生きてるって感じたな。」

「局員はそうじゃないの?」

「あんま稼げねーしな。何度でも復活するゾンビ兵って陰で言われてる。聞いた事ねーか?精神が壊れて病院送りになるやつも結構いるしな。」

クラウンはどんなリアクションをしていいか分からず、サイプレス号の模型を棚に戻した。

「シシッ!明日はmcsに報告がてら、フリーの見舞いに行かねーか?」

「うん。行こう!」

その日、オーガニックフードをチョコとゴーストはガツガツ食べ、クラウンとスノーはオーガニックプレートをモリモリ食べ、サイプレス号の適当な場所で眠りに落ちた。

サイプレス号のモニターにテロップがリピートされている。
ー1人とドッキングしましたー
ーギルドスーツが届きましたー
ージュニアからメッセージです。「フリーが目を覚ました。明日、当局に来い。」ー

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「なんで長い名前はダメなんだよ!シシー!」
アビリティの名前をつけるのにスノーが苛立っている。

寝起きで目が開ききってないクラウンが答えた。
「アビリティ出す時にスムーズな方が安全だから。」

「ハード、、ダイヤモンド、、しっくりこねーな。」

「じゃシェルは?」

「シシッ!クラウン、センスいいぞ。」

「ゴーストのもつけてくれよ。速度低下の罠だから、トラップ?スロー?」

「うーん、フリーズは?」

「頂き。フリーズっと。ワッペンをタッチで同士討ちなしって、こりゃ無敵だな。シシッ!」

「チョコと一緒だと、すごいんだよ。」

「やってみよう。チョコのアビリティで?同時に発動すると?おおお?シシー!」

スノーが独り言で操作する。クラウンはあくびしながらスノーの横に並びモニターを見た。手を叩いて2人は歓喜した。犬たちも横でぴょんぴょん飛び跳ねた。


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mcsの入口カウンターにジュニアがいた。
新しい軽装プロテクターと腕のワッペンを見るやいなや、突っかかって来た。
「おい、出ていくのか?」

「オレはmcsでギルドもやる。二刀流だ。」

「調子がいいな。局長が待ってる。あと数時間で出発するからすぐ行けよ。あと、、兄貴の様子が変なんだ。」

「ん?傷が深かっただけじゃなかったのか?後で見舞いに行くつもりだ。」

ジュニアはうなずき、廊下のロッカーから武器を取り出し武装した。泣きそうな顔をこらえている。

廊下の先、局長の部屋に入りディスプレイを出して報告が始まった。

局長が腕組みする。

「モジュールからはエレメントスポットの発見。火山だからな。アルバ山基地から犯人は逃走。ここでログは終わっている。局員達の報告も上がっている。ハックされ攻撃を受けた時、基地内に敵の姿はなく、もともといた探査機に背後から撃たれていた。次に、ジャミングアンテナは空から降ってきたらしい。しかし外で作業していた局員達の中で飛行機を見た者はいなかった。山からバイキングが飛んで来た目撃情報は多数あるが、ジャミングアンテナの様な重たい物は運べない。フリーの負傷の原因はまだ不明だが、回復すれば後にわかるだろう。以上だ。」

「オレはクラウンとアルバ山に戻って今回の事、もうちょっと調べます。」

「頼む。アルバ山は取り戻せたから、これから局員編成して、抗戦が続いているアスクレウス山の奪還に行く。何かあればアルバ山基地の局員と協力してくれ。」

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クラウンとスノーは局長の部屋を出た。
「病室は隣の棟だ。」

エレベーターに乗って、クラウンは久しぶりの母星マーズを眺めた。
工業的なグレーの街並み。錆れて埃っぽく無骨なデザインに重圧感を感じた。

ディスプレイを見ながらスノーは個室の扉を開けた。
フリーは点滴を打たれ眠っていた。
ベッドのモニターにテロップが流れる。
ーご用件をどうぞー
スノーはスイカのギフトマークを3つ押し、フリーの手を握ってから、退室した。

「お見舞いはいいの?」

「シシッ。もうすんだ。」

「誰に襲われたんだろ。」

「首を締められた跡があったな。アルバ山に戻ろう。」

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続く。

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