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トレモロ 1巻 4章 6話

サイプレス船内。

アンプロの音楽が鳴り響く。
ブラストの部屋で回収したモジュールの解析が翌日から行われた。

1日半ー、一睡もせずブラストはやり遂げた。
夜中に一度、変なテンションになってドレイクの迷言集を言っていた。

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ヴェロニカに報告を届けてから3日後。

wのサインがついた王宮の庭への招待状が届いた。
ー明後日、王国の正式発表があるから、正装で来る様に wー

正装の意味を調べて慌てて旧市街広場のブティックに駆け込んだ。
3人が招待状をファッションデザイナーに見せると、慌てて家族を呼び出し、サイズ直しをしてスーツを仕立てた。スノーの正装をクラウンとブラストは気に入り、何枚もログに残していた。ファッションデザイナーは乱れた髪を整えながら満足気だった。

ブティックを出ると、ポンチュキを買い込み、食べながら歩くウーカシュに会った。
「あー!!」「おやー!」お互いに声を上げた。

ウーカシュにお店まで付いてきてもらって、3人はポンチュキにかじりついた。

「うまー!!」

旧市街広場でウーカシュと別れ、マンドリン弾きの周りは今日も賑わっていた。

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晴天の中、ポラン王国の正式発表が始まり、中継も流れた。
最前列に3人と2匹は並んで座っている。

ヴェロニカが司会のテーブルに着くと拍手が湧いた。
「今日、お集まりの皆さん、王国は新しい未来を迎えます。ギルドの加盟国になる事を宣言いたします。伝統を守りながら、この国を守る事をお約束します。この国の有事を見事救って下さった英雄の皆様です。どうぞ御登壇ください。」

拍手が沸き、緊張で歩いた感覚がないまま3人は登壇し、2匹は尻尾を振った。
「ギルドの加盟国となり、ベイサイド・ステーションにギルドの設立を宣言いたします。友情の証と今回の報酬の目録です。」

ブラストが両手でヴェロニカから受け取った。

「続きまして、いっ時は死亡した速報まで出ましたが、騎士団のドレイクが蘇りました。新たな騎士団の編成と新たな鎧を贈呈いたします。」

拍手が湧いたがドレイクの姿はなかった。
3人はキョロキョロしたが、王国のみなは気にしていないようだった。

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中継が終わり、ヴェロニカが3人の所に来た。
薄紫のドレス姿は美しい。

「みんな素敵ね!今日までご協力ありがとう。ブラスト、ディスプレイを出してもらえる?」

ブラストがディスプレイを出した。
報告
ー憂国のジャーナリスト、レイ。性別、女性。隣国の無礼者を焚きつけ、ポラン王国を弱らせ、王国の指揮系統に入るつもりでいたらしい。廃墟の不法占拠、スパイ行為、侵略、略奪の擁護、騎士団殺し、バイキングの密輸など、まだ余罪はありそうだ。モジュールに残っていたバイキングの密輸数と報告の撃破数が一致した為、一旦報告は終了とする。ー

ヴェロニカはwのサインをした。

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3人はドレイクに贈呈された鎧を持って、ヴェロニカに教えてもらったパブに行った。
ギルドスーツでなく正装していた為、パブに入れた。
マンドリン弾きが店のステージで演奏していた。
ドレイクはテーブルを2回叩いて、クラウンに合図した。
店のカウンターに鎧を置いて、ドレイクとビゴスを食べた。

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サイプレス号、地下。

最後の一個のポンチュキを巡って3人と2匹はフラッグ競争のスタートラインに寝そべっていた。

ースタート5秒前、4、3、2、1ー
パー。フォーンが鳴った。
一斉に起き上がり低い姿勢で一歩前にでたスノー、半分過ぎた所でゴーストに抜かれた。

サイプレス号のモニターにこれまでのログがゆっくり自動再生された。
スノーの正装が流れた。

「シシッ!ブッチ、変な機能つけやがって。」スノーがぼやいた。
「なんか良い!かわいいー。」クラウンは笑った。
「わかるー。」ブラストも笑った。

地下の柱に3着のスーツが並んで掛かっている。

クエスト報告が楽しみで、一番近いギルドがあるステーションに向かって銀河へ飛び立った。

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2日後にダム・ステーションに到着した。
ダムを三日月型に囲う様に商業施設や街並みが広がっていた。

チョコのプリズムを追ってギルドに到着した。

クラウンはレベル15になった。
ブラストはレベル20になった。
スノーはレベル9になった。

ポラン王国からの高額報酬も受け取り、ギルドからは加盟国の獲得のトロフィーと特別報酬、小包が送られた。小包を開けると、ポラン王国の城を型どったトロフィーだった。

買い物を済ませ、シャトルで補給が終わるのを待っていると、ギルドからメッセージが届いた。
ーブラスト様、レベル20達成おめでとうございます!格安セールのご案内です。家庭用ギルドポッド「zone」10万クレジットが半額の5万クレジットでご購入頂けます。この提案を消しますか?ー

「高ーー!!シシシッ。」スノーは息が荒くなった。

「うわー。最新のゾーンじゃん。ギリ買えちゃうなー。」ブラストは悩み始めた。

「え?買うの?」クラウンは高額の買い物にそわそわした。

ブラストはモニターを操作した。
クラウンとスノーは息を飲んだ。

いいえ。購入。はい。
お買い上げありがとうございます!今回の特典は、スーツのカスタマイズチケットです。ギルドネットモールへのご来店お待ちしています。

「やったー!やっとスーツ、カスタマイできるぞ!後でゆっくり選ぼ。」

「僕も見たい!」

「オレも!」

モニターにテロップが流れた。
ーブラスト様の船にzoneの取り付け工事をスタートします。完成まで13時間ですー

ーハニからのメッセージです。「ブラスト元気?急ぎじゃないけどモジュールの回収したから、その回収と解析をお願い!アースに来て。」ー

3人はギルドスーツのカスタマイズのモニターの前で盛り上がって、ハニからのメッセージにはまだ気づいていなかった。

⭐️

完。



⭐️⭐️

ジョーです。
トレモロを読んで下さり、ありがとうございます。心から厚く御礼申し上げます。2巻はハニ編です。楽しんで読んで頂けたら幸いです。

安之丞あんのじょう

絵:クサビ


あとがき

1巻完結までに10人くらいに読んで貰えたら満足と思っていました。公開してみると想像以上にたくさんの方々に読んで頂けた事に感動し震えました。

クラウン達の成長をほっこりと、バトルは30秒間のスーパーパワーアクションと好きな世界の冒険劇を描きました。ゲームの中の主人公の様に少しずつ成長して行く物語が好きなんです。

幼少の頃に読んだムーミンやタンタン、ゾウのババールなど、冒険劇が大好きだった。私自身、クラウンの年の頃の13、14歳の時、ゲームや音楽、映画、本や漫画、プロレスにハマりました。私という人間を通してトレモロはできました。

そしてトレモロの世界の魅了を最大限に引き出してくれる、挿し絵を書いて下さったクサビ先生、ありがとうございました。小説を読む時、挿し絵がある作品が大好きなのでお願いしました。トレモロを面白がって下さり、幅広いタッチで描いてくださり大変感謝しています。

この様な場所があり、読んで下さる人がいる。良い時代になりました。改めて感謝。

安之丞

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