こんにちは。
なのるほどのものではありませんが、私です。
夏休みなどない『©ダブリ』作者です。
『©ダブリ』第8話まで公開しました。
8話の「あらすじ」と「あとがき」を書いておきます。
第8話:『十二番目の突然変異』
【8話のあらすじ】
いづみとの会話でマツリを傷つけたことにようやく気付いたメグは、躊躇いながらもマツリの家を訪ねた。しかしマツリは不在。なぜかそこに国光からの転入生――楓が現れ、メグは初めて楓と対面する。
楓がただの転入生ではないと察知したメグは、楓の正体が自分と同じ「ブラックカルテ」、感情に喰らう化け物を体に宿す者であることを椎名から聞かされる。楓の化け物が反応する感情は『嫌悪』。彼女を嫌う人間を襲う化け物が、楓の中に住んでいるという。
その後、メグは家に戻らぬマツリを探してやってきた廃工場で、マツリが倒れているのを発見する。メグは彼女を家まで運んで介抱するが、彼女が目を覚ました時、ある「異変」に気付く。
楓に完全に心を折られてしまったマツリは、メグのことを一切忘れてしまっていたのだった。
【あとがき】
記憶喪失です。
創作ではありがちなのですが、現実的にそうあることではないので、私が物語を考える際あんまり使わない展開です。が、当時高校生だった私は案外あっさりとマツリから記憶を奪ってしまいました。
改稿する際、このシナリオを変えてしまおうか?とも思いました。
けれど残すことにしたのは、マツリが「母親を死なせた」という体験は、たった一回「他人に自分の過去を許してもらえた」というハートウォーミングな体験をしたからと言って、完全に晴れるような軽い過去ではないからです。
人のトラウマなど、人の命が失われた傷など、そう簡単になくならないのです。だから楓に過去を暴かれたあげく、嘲笑された――「許してもらえなかった」という経験はマツリの心を壊すのに十分すぎる出来事でした。
マツリの心は歪です。多分、登場人物の中で一番複雑です。それを表す展開として、「記憶喪失」はあってもいいなと思ったのでこのシナリオを残しました。そのおかげでいっそう暗い話にはなってしまいましたが。
さて、楓が場をかき乱す8話、9話、10話はなかなか重たい展開が続く予定です。『©ダブリ』の物語後半への展開にむかうターニングポイントでもあります。
読んでくださっている方。
この「あらすじ」と「あとがき」だけ読んでくださっている方。
どうぞ引き続きおつきあいください。