あるプロデューサーは、売れていないが面白い芸人がいるという噂を耳にすると、すぐに見にいくそうである。
出版不況と言われて売れる企画が模索される時勢にあって、それでも心ある編集者は、素晴らしい小説を生み出す作家の卵を探している。あらゆるカテゴリーの小説が新しい書き手を求め、大小を問わず、新人賞、文学賞が多数創設されている。さらに、インターネットが発達し、この「カクヨム」を代表例とする小説投稿サイトの出現によって、我々の作品が世に見いだされる確率は、30年前に比して、格段に上がったように見える。
しかし、もしそうだとしたら、いつまでたっても日の目を見ない作品の書き手に、
「いくら書いても、あなたに才能はない」
と断言してくれる時代になった、ということも言えるのではないだろうか。
それでも、私は書き続けるのだろうか……