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千葉真一さんを悼む。

 日本の映画、ドラマのアクション史に名を刻んだ俳優、千葉真一さんが亡くなった。
 ジャパンアクションクラブを設立し、これまで日本にはなかった新たなアクションを見せてくれただけでなく、真田広之さんや志保美悦子さん等を輩出、特に女性のアクションスターを産み出した功績は小さくない。
 長く歌舞伎の型を基本としていた日本のアクションを、黒澤明監督が血飛沫を吹き上げて変革を試み、さらにジャパンアクションクラブの存在が、スピード感溢れる佐藤健さんの『剣心』に影響を与えたことは言うまでもない。
 ところで、どんなに技巧を駆使したとしても、文章が映像の迫力に迫れるはずはないが、それでもかつての剣豪小説の書き手は、実際に木刀を手にあれこれ剣技を工夫し、チャンバラシーンを考えたそうだ。ただ一つだけ、ガキーン! とか、ズバ! とか、いわゆる擬態語を使わないというのが、暗黙の約束であることに、今も変わりはあるまい。
 漫画や劇画、コミックには当然のように出てくる擬態語を用いずに読者の想像力に訴えることができるか否かに、剣豪小説、時代小説作家の力量が問われるのである。いや、そこに矜持があるのである。
 千葉真一さんの御冥福をお祈りする。

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