一年に一度しか逢えないけれど、毎年毎年、言えば永遠に続く愛だからこそ、七夕伝説は廃れないのかもしれない。
シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」の、この世で結ばれぬ二人は、数え切れないほど物語に転用されている。
「源氏物語」を愛する女性たちは、光源氏を取り巻く、哀しい女性たちに魅かれると言う。
かつて日本には「紅涙を絞る」という言葉があったが、女性に涙を流させることこそが、人気を博す小説の、まさに最重要要素である。
それがわかっていながら、未だに紅涙の絞れぬ我は、雨の七夕にただ願うばかりなり……