そもそも素人の創作というものは、誰からも期待されていない地点から始まるものなので、熱狂的な読者が数万人単位でワクワクしながら待ってくれている、なんていうのはほぼありえない(プロだってそんな人はほぼいない)。
誰からも待たれていなくても、頭の中に構想や、イメージや、キャラクターがあればそれなりに創作はできるものだが、自分の場合は今年の前半で多くを書き尽くした感じがあって、ほぼ半年くらいじーっとしていた。
薄ぼんやりした構想はいくつかあったものの、何だか手につかないし、私生活であれこれあった上、肩まで痛くなってきたのでほぼ活動停止状態が続いていたのであった。
しかし、いよいよ本格的に肩の痛みも治ってきたし、新作を何も書かないおかげで旧作をポツポツ読んでくれる人が目立つようになって、特に「夢三十三夜」とか「悲しむ機械~」なんかによい反応があると嬉しい。
それに読書会を始めた関係で、自分で決めた課題図書の周辺の本を読み直したり、今までに読んだことのない作者の本を読んだりする機会も増えた。
そういう訳で頭の中にチラチラと、こういうものを書きたいという構想の種が増えつつある。昨日は江國香織の「物語のなかとそと 江國香織散文集」という本を読んで刺激を受けた。
どうも自分は、長い小説を読んでもさほど創作欲を刺激されないで、批評欲が盛んになるばかりである。逆にうんと短い、2,3ページくらいの掌編を読むと興奮して、
「メタクソ上手いやんけ!!」
「こういうのを自分でも書きたい!!」
と、創作欲に火がつくようである。
江國香織の上記の本は、エッセーと掌編が分け隔てなく混ざった本で、2ページくらいの掌編が素晴らしい。やはり小説は「上手い」とか「凄い」という感嘆とか驚嘆で頭を一杯にしながら読みたいものである。そういう感覚を久々に味わったのだが、自分以外の人には江國香織の掌編のよさはあまり伝わらないかもな~と思う。