参加作品数

16

参加受付期間

  • 開催中
  • 53日後終了 2026年2月18日(水) 23:59まで

企画内容

かつて確かに寄り添い合っていたはずの二人のあいだに、見えないヒビが生じ始めたのは、些細な衝突が積み重なりはじめた季節だった。互いに大切でありながら、互いを守ろうとするあまり言葉は鋭くなり、想いはかえって遠くへと押しやられ、胸の奥にしまいこんだ本心が影のように広がっていった。過去に抱えた傷と未来への不安が、まるで絡み合った糸のように二人の視界を曇らせ、気づけば歩幅は乱れ、寄り添っていた肩はわずかに離れ、同じ道を歩いているはずなのに、いつしか別々の方向へ向かおうとしていた。
ふとした瞬間に噛み合わなくなる価値観、譲れないこだわり、心の片隅に沈んだままの後悔。まるで積もった雪の下で氷が音もなく割れていくように、ただ静かに、しかし確実に二人の絆はひずみを増していった。互いを想うがゆえの衝突は、愛情の裏返しであることを知っていながら、それでも感情は制御がきかず、寄り添いたいのに近づくほど痛みが走り、優しさを向けたいのに棘ばかりが触れてしまう。そんな己の未熟さと向き合う勇気さえ持てず、心はすれ違い、時間だけが淡々と進んでいった。
そしてある日、ついに決定的な溝が姿を現した。
積み重ねてきた誤解が一気に噴き出し、胸の奥に押し込めていた本音が暴れ出し、互いの言葉は鋭い刃となって投げつけられた。自分でも望んでいないはずの傷つける言葉ばかりが舌先からこぼれ落ち、気が付けば二人は背を向け、振り返ることすらできずに立ち尽くしていた。過去の痛みを抱えたまま未来を語ろうとしたこと、その矛盾が二人を追い詰め、どれほど近くにいようと届かない距離を作り出した。
だが本当は、離れたいわけではなかった。
目をそらしたいのは相手ではなく、自分の弱さであり、癒えぬ傷であり、向き合うことを避け続けた恐れだった。壊れたように見えた絆の下には、まだ消えていない温度が確かに残っていた。それは、何度踏みつけられても消えぬ火種のように、胸の奥の最も深い場所で静かに揺らめいていた。
過去の痛みは、生きてきた証。未来への不安は、生き続けたいという願いの形。
その二つがようやくひとつにつながった時、二人は初めて、壊れたと思っていたヒビの正体に気づく。
それは、ただの傷ではなく、再生のために必要な隙間だったのだと。
ひび割れた心の表面からは、これまで見えなかった内側の脆さも優しさも、傷も願いもあらわになった。隠す必要のない弱さが露わになった時、互いに寄り添うための新しい道がようやく見えはじめる。壊れかけた瞬間を乗り越えたからこそ触れられる温度、見える景色、響く想いがあった。
二人はゆっくりと、失われたと思っていた絆の形をもう一度確かめるように心を寄せていく。過去を否定するのではなく抱きしめ、未来を恐れるのではなく選び取るために、少しずつ、しかし確実に歩を進めていく。たとえ同じ傷が再び疼く日が来ても、今度は逃げずに向き合うと決めたからこそ、その歩みにはかつてなかった強さが宿っていた。
そして最後に訪れるのは、決して劇的ではないが、確かな“再生”の瞬間。
壊れたと思われた心のひび割れから差し込む光が、新しい未来の輪郭を照らし出す。
かつて衝突し、迷い、離れかけた二人が、もう一度見つめ直すことで生まれる静かな奇跡。
それは、かつての形に戻ることではなく、ひび割れを抱えたまま、それでも重ねられる新たな絆のかたち。
この物語は、
“傷ついた心がもう一度手を伸ばすまでの時間”
“壊れたように見えた絆が再び呼吸を始める瞬間”
そして、
“過去と未来に引き裂かれながら、それでも互いを選ぶという決意”
を描く、復活の恋愛譚。
ひび割れた心から生まれる光が、未来を連れてくる。
その瞬間を信じ、もう一度歩き出す二人の物語である。
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参加方法

参加する小説の設定画面で、自主企画欄にある「絆と未来二人の運命はいかに」を選択してください。

運営より

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参加作品一覧

覚えたの愛

★0 恋愛 連載中 3話 43,525文字 2025年10月14日 16:08 更新

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主催者

こんにちは。 はじめまして、あるいはおかえりなさい。 私は、名を**絆川 熙瀾(きずながわ らいひ/キラン)**と申します。 この名はただの記号ではありません。 それは私という人間の「選び直し…もっと見る

近況ノート

参加者 14