「短編風」を含む小説

ふと思いついた短い情景や詩を、掌編としてまとめています。気分転換に読んでいただけたら嬉しいです。

　生まれた国で『夜火の魔物』と呼ばれていた。 　その国は帝国の属国となった。 　夜火の魔物──彼女は、帝国に渡った。 　彼女を救ってくれた存在、帝国の『秘宝』に会うために。

完結しました 夏の終わり、透は久しぶりに幼馴染の未央と再会する。 町のはずれにある川で、二人は不可思議な光と母の声に導かれ、過去に隠された秘密と向き合うことになる。 川の底に沈…

吸血鬼、それは人の血を吸い生きる伝説の生き物。 吸血鬼、それは私の恋人を殺した怨むべき存在で、仇の名前。 私はあの女を殺す為に生きている。

バレエ一筋で生きてきた少女にとって、 純白のシューズは努力の証であり、誇りそのものだった。 次のコンクールへ向けて選んだ新しいシューズは、 なぜかどれだけ練習しても汚れひとつつか…

森の最後の木が倒れた夜から、教会の鐘が無人で一度だけ鳴る。 打つたびに木こりが消え、伐採地の切り株には年輪が一本ずつ増えていく。

「舞台に立たぬまま、生きることを選んだ。」 小学生の頃から抱えてきた無関心と仮面。 十六歳で覚えた酒と煙草、刹那の独占。 社会に溶け込み、平凡を演じながら問い続けた。 人間らしく…

弓道部の中で、彼は“百発百中”と讃えられていた。 外したことなど一度もない。誰もが疑わない、揺るぎない自信。 文化祭当日。 観客の前に並ぶ五つの人形。 部員たちが用意した、少し…

竜帝に現れた“番（つがい）”――それは、天が定めた愛であり、同時に呪いでもあった。 愛する婚約者を持ちながら、平民の娘と番を結ばされた若き竜帝・黎翔。 理性を奪う宿命に抗い、帝…

時代を作る偉大な異才たちに期待し、勝手に被害妄想を膨らませる痛い大人たちによって創造される死体が蔓延る未来の世界。

幼い頃、海の上で“それ”を見た。 山のように巨大な影。 海の静けさを裂く、形の無い視線。 大人になって再び訪れた祖父の村。 弱りゆく祖父と、最後の釣りに出た海で、 あの日と同じ…

※「外伝」と銘打っており、一部本編の後日談的要素も含みますが、「星の影放浪記」シリーズを読んでいなくとも楽しめるように作った作品です。 『お前たちは、毒と知りつつも、これを…

　帝国の北方において『夜空の内に青い龍の姿を見た』という噂が流れた。 　皇帝は近衛兵の一人、『虎皮の男』に調査を命じる。 　『虎皮の男』は調査の旅の道中で一人の奴隷、『tat…

※「外伝」と銘打っておりますが、「星の影放浪記」シリーズを読んでいなくとも楽しめるように、むしろシリーズの取っ掛かりとして作った作品です。 世界暦１９５年。文明開化後の和国。…

ユイちゃんの家の白いカーテンが、今日も風にふわりと揺れています。 いつものように聞こえた“ピンポーン”――でも、そこにはだれもいません。 何日も続くその不思議なチャイムの音。 勇…

バスの車内、ささやかな声かけが世界をずらした。強運すぎて致命打だけ外れてしまう男と、燃え尽きてもなお再生する女。互いの異常を目撃したふたりは、路地裏から日向のカフェへ──日々のさ…

すべてを奪われた「私」は、犯人が捕まらぬまま時を過ごし、 やがて神にすがるように祈りを捧げる。 一方、街の片隅でインクをこぼした男がいた。 それは、ただの汚れに見えた。 だが、…

山で見つかった一匹の動物。 そこから始まった不老不死に関する連鎖的な死。 記録、報告書、SNS、断片的な手記を通して、少しずつ浮かび上がる真実。 科学は奇跡を解明できるのか。…

旅先の小さな町で出会った老人に勧められ、洞穴を見に行った男。 しかし、その洞穴の看板は訪れるたびに内容が変わっていた——。 不可解な現象の末に、老人が笑って放つ一言とは？

毎年、りんごが赤く色づくころ—— 地元の丘の上のワイナリーでは、恒例のワイン祭りが開かれる。 飲めない「私」は、ハンドルキーパーとして家族を送り出し、 チーズとりんごのケーキで…