「あつまれ!goodレビュワー!~ほのぼのスローライフ~」にご参加くださり、ありがとうございました。どれも作品を読んでみたいと思わせられるレビューばかり。レビューを読んでいるだけで、作品への愛が切々と伝わってきました。
集まった作品は、同じテーマとは思えないくらい実にさまざま。冒険者ののんびりした日常を描いた作品や農場スローライフの物語。かと思えば、異世界転移で指から唐揚げが出せるようになったり、まさかの登場人物が全員「藻」(!)だったり。バリエーション豊かなスローライフに心が癒されます。
仕事や学校の毎日は楽しいだけじゃない。ついつい心が荒んでしまうこともありますよね。そんな方、1日の終わりにやさしい世界でちょっとひとやすみしませんか?
異世界転移してしまった青年が、あまりの空腹に耐えかねて唐揚げが食べたいと願ったら、指から唐揚げが出てきた……?!
そんな突拍子もない設定の面白おかしい物語かと思いきや(いや面白いのですが)、魔法のあり方や、その世界に住む森の民の暮らしがしっかりと丁寧に描かれています。
やがて、森の中で彼を助けてくれた少女との出会いを経て、いよいよチャレンジするのは、唐揚げづくり……! まったく異なる世界での材料集めから、どうしてそこまで詳しいんですか?!と聞きたくなる食材の捌き方まで、これならもはや異世界に飛ばされてもいつでも唐揚げが作れるようになる気がする……!という不思議なリアリティのある物語でした。
それだけでなく、主人公シンイチくんのなんとも言えない絶妙なボケとツッコミ入り混じった語り口や、彼を助けてくれたマコトさんの優しさ、どうにも笑いを誘う彼女の両親など、登場人物たちもみなさん魅力的です。
ラスト付近では唐揚げをキーにしてもう戻れない故郷への郷愁が語られ、なんだかとっても切ない気持ちになりましたが、その後の二人の暮らしの様子のおかげで、きっと幸せに暮らしたんだろうな、と暖かい気持ちで物語の余韻を感じることができました。
唐揚げ愛と、しっかりしたファンタジー、どちらも楽しめる素敵な作品です。
ニートでゲーマーの主人公・大神直人は、いつの間にか知らない世界へ迷い込み…
気がつくと、不思議で可愛い猫鶏「ニャートリー」に導かれ、数々のクエストをこなすことになった!
ゲーム世界らしく、何かとステータス画面が出てくるのですが、毎回面白いんです。見た瞬間笑えるステータス(笑)
クエストは農場開墾!
ニャートリーの導きのままに種をまくと、花が咲き、JK女神が生まれ出る。
その数、全部で七柱!
つまり七人の美少女JKに直人ひとりが囲まれるわけで、羨ましい状況かと思えば…そんなこともなく。
個性強めの女子パワーに翻弄されまくり、彼女たちをうまくまとめることができません。
この辺りの人間(?)関係にとても共感します。ニートの主人公がいきなりモテモテになるわけないのです。個性バラバラな七人の女子をまとめるなんて、誰にだってそう簡単にうまく行くはずがない。
でも、葛藤の末、なんとかみんなの力を結集して大がかりなクエストをこなすのです!
可愛い女子キャラたちに、ゲーム的な農場開墾クエスト。
想像以上に難しいクエストをこなすうちに、直人の脳裏には、自分が今まで迷惑をかけてきた家族の姿が何度も浮かびます。ほろっとさせられる瞬間です。
直人はクエストを完遂し、無事にもとの世界へ帰れるのか?
頼れる猫鶏・ニャートリーの正体は?
楽しく可愛く、時々ちょっぴりほろ苦い。
ニャートリーが招待してくれる農場で、夢いっぱいの農場体験、してみませんか?
とてもやわらかくて読みやすい文章で描かれた冒険ものです。
苔むした洞窟や真っ白な雪山など、情景描写が綺麗で惚れ惚れしました。
冒険と対になる日常の様子も魅力的で、特に個人的には宿で二度寝をする回がゆるくてお気に入りです。
マイペースな冒険者のメルメル師匠と、しっかり者の弟子ルビノの師弟関係も素敵でした。
ゆったりと進む連作短篇集ですが、それぞれのキャラの想いが重なるラストはすごく盛り上がります。
これからの展開もあるとのことで、完結作品ですが今後も楽しみです。
〈追記 2023年2月3日〉
遅まきながら、《死者の檻の冒険者》編を完結まで読みました。
シャグランとフェイリュアの、恋じゃないと言い張っている恋話は切なくて、悲惨な結末込みで出会いや別れ、そして結婚式も素敵だなあと思いました。(救済はありますが)
フギンとマテルはもう、絶対に幸せになる確信しかない二人なので、安心して最後まで見守ってました。
ガチガチにレールの敷かれた人生に息苦しさを感じていたマテルと、何も持っていなさすぎて不安だったフギンの二人だからこそ、良い塩梅に落ち着けるんだよねと納得のエンディングです。
悪者はいろいろやらかしましたが、すごくハッピーエンドな結末なので魂が浄化されました。
素敵な物語を、ありがとうございました!
登場人物が藻です!
珪藻のステファンや、緑藻のユドくんたち(彼らは群体なので複数形だそうです)などマニアックなキャラがたくさん出てきます。
生物の教科書や参考書を眺めるのが好きな方にオススメしたい作品です。
そうでもない方も、いつもと違う話やシュールな話が読んでみたいと思ったら、ぜひご一読ください。
水たまりのなかで繰り広げられる数十~数百ミクロンの会話に耳を傾けてみましょう。
自らの造形美を語り、鞭毛を揺らして怒り、友達を作って遊び、時に世界について論じる。
学名(属名)でしりとりを始めた時は、あまりのマニアックさにまったくわからずも興奮しました。
ゆるくおかしくかわいい、藻たちのワンダフルライフを、ぜひ覗いてみてください!