暑すぎる日々がふと途切れ、ちょっと肌寒くすら感じる8月後半、みなさまいかがお過ごしでしょうか? わたくし微妙に不元気です。
まあ、そういうのはいつものごとく置いておきまして。太ましいおじさんのわたくし、3月からずーっとプランクなる体幹と腹筋を鍛えるやつを続けていたりします。少しずつ負荷を増やしながら40秒間×5、毎日欠かさずです。限られたお時間の中でカクヨムへご投稿くださっているみなさまとは比べようもない、ささやかな日課ではあるのですが……やると決めたことをやり続けることには意味があるでしょうから投げ出さずにがんばってみたく思います。
——さて、今月も先月に引き続きおすすめ作品のご紹介です! みなさまにぜひ出逢っていただきたい創意と工夫が光る4作品、どうぞお楽しみくださいー。

ピックアップ

極々限られた字数内でクエストを達成する——予定の魔物退治物語!

  • ★★★ Excellent!!!

1000文字以内に魔物を討伐せよ! そんな無茶振りを背負い、アクス・グランスは仲間たちと共に今日も今日とて駆けだしていく!

あらすじ紹介もコンパクトにまとまりましたが、「1話1000文字縛り」という発想、猛烈におもしろい! そして1話めで気づくのですが、綺麗に終わらないんですよね。途中でぶつっと終わっちゃうのですよ。で、しょうがないから2話めでリトライして、やっぱり終わらなくて3話へ突入していくという。

だというのに、ぐだぐだに堕ちていないんですよ。アクスくんたちは前回の失敗を踏まえてアタック方法を改善、リトライします。もちろん成功することもあるのですが、そうかと思わせておいて意外な方向で失敗したりして……。著者さんが物語のギミックを最大に活用していて、キャラクターがクエストへ真剣に向き合っているからこそ、読む側も今回はちゃんと終わるのか!? とハラハラできるのです。

敵はモンスター以上に残り文字数! 仕掛けで魅せるスリリングな冒険コメディです!


(「創意と工夫」4選/文=高橋 剛)

この異世界に秩序もたらし、正義示す者——裁判官!

  • ★★★ Excellent!!!

裁判官を目指していた大学生が異世界へ転生した。ごくごく平凡な田舎民の息子として育った彼だったが、しかし。家業の手伝いとバイトと魔法訓練をこなしながらこの世界の法律知識を学び続けて——ついに異世界の裁判官となる!

というわけで、こちらは異世界ジャンルの新たな切り口、異世界裁判ものとなります。
ネタの斬新さに加え、それを最大限に生かす世界観の細密さと物語の見せ方に目を奪われました! 魔法があり、魔物がいて、法整備が行き届いていない世界。その様がちょっとした説明や会話から透かし見えるのですよね。しかも色濃く。

そんな理不尽だらけの状況で、主人公は裁判のための証拠集めをして推察、真実をひとつひとつ確定していきます。この刑事物さながらに「詰めていく」展開あってこそ、関わる者たちのドラマは風情を醸し出しますし、明らかとされる真実は輝いて、掲げられる法の正義を一層鮮やかに浮き彫るのです。

けして甘くはない読後感まで含めて、ぜひ味わっていただきたい一作です。


(「創意と工夫」4選/文=高橋 剛)

バーチャル世界のトップを狙い、バーチャル美少女が鎬を削る!

  • ★★★ Excellent!!!

美少女キャラのアバターを構築し、その中の人となるバーチャル美少女受肉(バ美肉)。伽羅倶利エイトはバ美肉少年としてネット上で人気を争う“バ美肉バトラー”のトップランカー、倶利伽羅カルラである。が、ある日突然現れた新人バトラー、蓮桃ハヤテにその座を奪われた。かくてエイトはハヤテへバ美肉バトルを挑む。敗北した者が自身のアバターデータを無償配布するという条件で——!

バ美肉バトルは外見美少女によるパフォーマンス勝負! バーチャルであることを生かした鮮やかな描写にまず目を奪われます。そしてその“中”で繰り広げられるエイトくん(カルラさん)の駆け引き、実にお見事なんですよ。舞台の表で華麗に舞う美少女の裏ではタフでクレバーな男子の計算が閃いていたという感じですね。この表裏のギャップがキャッチーなネタをそれだけのものにせず、物語に豊かな起伏を与えてくれているのです。

気になるバトルの行方は本編でお確かめください!


(「創意と工夫」4選/文=高橋 剛)

売れるネット作家を目指し、マーケティングで徹底的に自己分析!

  • ★★★ Excellent!!!

「零細作家」を名乗る著者さんが自身の能力をマーケティング手法をもって掘り下げ、ネット小説家として売れる仕組づくりを試みる!

ざっくりとまとめるならば、著者さんがご自身の弱点を洗い出して改善を考え、視点を変えてよりよい選択をしていく過程を描くエッセイです。興味深いのは、自己分析を「自分は自分」以外の答が出ない主観ではなく、マーケティングという客観的な方法論で切り込んだこと。やるべきことをやり抜くにはまず、できることとできないことを選別していかなければなりませんから。

とはいえその中で著者さんも悩まれるわけですよ。答だってやっぱり「自分は自分」に収まることもあるのです。でも、客観視の過程を経ていればこそ、結果としてその先選ぶべき道が定まっていくのです。

普通に読むだけでもおもしろいのですが、悩める書き手さんには深い納得と新たな気づきをもたらしてくださるのではないかと思いますので、特におすすめさせていただきます。


(「創意と工夫」4選/文=高橋 剛)