私、一応のところは自由業おじさんなのですが、厄介な癖(へき)があります。それはお家だと頭の巡りが超低下して仕事ができないこと。
ですのでほぼほぼ毎日、喫茶店やファミレスを朝から夕方まで自転車漕ぎ漕ぎ渡り歩いていたりするのです。それはもう気温や気候の影響を超受けながら。
この時期、朝は暗いですし居住区はこの時期雨ばっかりですしそもそも寒いですし道路凍ったりしますし――超辛いのです!
でも、用水路の縁のところに鴨がずらっと並んでたりするのを見られるのは朝から出ていればこそ。明日も「辛ぇ~」とか思いつつ、鴨を横目に仕事へ向かうことになるのでしょうわたくしです。
と、たまには雑記らしいことを書いてみつつ、新作4編をご紹介させていただきますー。

ピックアップ

それは2年D組を襲った大きくて小さな事件

  • ★★★ Excellent!!!

文化祭、お化け屋敷を出した2年D組は最優秀クラスに選ばれる。しかし、その一員として栄誉を勝ち取った飛鳥はひとり思うのだ。あの不条理は見逃せない。

2日間開催された文化祭、そこで2年D組を襲ったとある事件を巡る日常の謎! 構成が【文化祭の打ち上げ→2日め→1日め→打ち上げ】と繋がっているところ、ここが第一の注目点です! 当然ながら事件は1日め、文化祭スタート前に起こる(発見される)のですが……あえて2日めを先に語ることでオチにまで繋がる飛鳥さんの心情を知らせ、その後で事件の内容を明らかにして、飛鳥さんの「あの不条理は見逃せない」を浮き彫りにしているのですよ。すばらしい構成ですねぇ。

そして第二の注目点。ネタバレになるので細かく言えないのですが、融通が利かない性格である飛鳥さんの最後の選択! 前述した2日めの心情がうまく機能して、深い納得でお話を締めてくれるんですよ。

けしてすっきりじゃないけど、それがいいと思える青春のほろ苦グッドエンド、ずずいとオススメさせていただきます。


(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)

戦闘機が魅せる最高で最悪で唯一の死闘!

  • ★★★ Excellent!!!

宇宙港より飛び立つコスモプレーンを敵から守るべく、特殊部隊ストライクキャットは戦闘機を駆り、空母より飛び立った。敵戦闘機は3機。それを墜としたと思いきや新手がストライクキャットへ襲いかかる。それも最強の対空戦闘機と呼ばれる名機が――!

初見の感想は「大胆」でした。著者さんが情報を意図的に削ぎ落としているため、このお話の背景やキャラクターが置かれた状況などがわからないのです。でも、それによって押し出されているのですね、「空戦」というテーマがビックリマークつきで!

戦闘機が高空へ飛び出していくまでの間(ま)。敵同士が互いに背後を取り合う戦闘機動の忙しさとパイロットの心情。ダメージの有り様(ありよう)とそれを受けた機体の有様(ありさま)――描き出された情景のひとつひとつが、まさに他の要素を削ぎ落とした特化型だからこその解像度を実現し、鮮烈な「一瞬」を魅せてくれるのはたまりません。

著者さんの「これを試しに見てほしい!」がまっすぐ押し出された濃やかな空戦劇です。


(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)

ひとりの男がこれより修羅となる――!

  • ★★★ Excellent!!!

領主として地を治める黒豆玄斎は、旅の僧であり、諸国の事情に詳しい善鬼より織田信長が桶狭間で今川義元の首を獲った話を聞く。そして彼は思うのだ。自分に信長のような修羅の生きかたはできない。……しかし玄斎は、とあることから立ち上がり、踏み入ることを決めるのである。信長という修羅が先に行く、天下取りの戦場へ。

戦国という狂乱の時代をどうにかやり過ごしていこうと思っていた玄斎さんが、なぜ立つことを決めたのか? ――震えましたね。話の始まりと事の起こり、ふたつの“起”が合流して描き出す太いストーリーラインに玄斎さんが流されゆく展開にも、その果てで玄斎さんが心に燃え立たせる修羅の気炎にも。

戦国武将を描く作品は多いものですが、時代の熱やそれに炙られた人の心にスポットライトを当て、しかもここまで鮮やかに描き出せている作品は希有というよりありません。
時代物が好きな方へは見逃していただきたくない一作として、書き手さんには選んだネタの切りかたを考える参考作として、強く推させていただきます!


(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)

書いときたいのは、かなり深刻に厄介なお尻問題!

  • ★★★ Excellent!!!

著者さんが2018年の10月から連載しておられるエッセイ『炊事は僕の担当です』のスピンオフエッセイ。本編は夫である著者さんがなぜ炊事担当に着任したのかから始まり、食事にまつわるお話あれこれが綴られているのですが――その中で再発してしまった痔のお話を切り取ったものがこちらなのですね。

エッセイへ魅力が宿るには、どれだけ著者さんが赤裸々になれるかが大きく関わります。そしておもしろくなるには、著者さんがご自身の赤裸々をどう調理できるかに依るわけです。

著者さんの筆は、この赤裸々を軽妙に語りあげます。それなのに作中で着々と大きくなっていくんですよね、痔と向き合う恐怖が! ネタを読み物としておもしろく調理できる技術が高いのはもちろんですが、ご自身をネタとして扱いきる覚悟の高さ、超すばらしいですよ。エッセイを読むだけでもおもしろいのですが、お目にかかって直接お話伺いたくなります!

冬はちょっとお尻に辛い時期ですので、やさしくいたわりつつ。著者さんのおもしろ赤裸々お尻事情を覗き見させていただきましょうー。


(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)