学校が嫌いでした。勉強も、運動も好きではなく。クラブ活動にも興味が持てず、人付き合いもうまくない。そんな私の唯一の居場所は図書室でした。本を読んでいれば誰からも何も言われない。当時は本を借りるために学校へ行っていたような気がします。お陰様で病欠以外はほとんど休まず通うことができました。最近、不登校が話題ですが、私にとっての図書室のように、なにかひとつでも学校が好きになれる理由があれば、いじめられても、教師に嫌われても学校に行きたいと思えるかもしれない。そこで今回は学校と教育をテーマにした作品をピックアップしてみました。作品を通じて学校が嫌いな人が、少しでも学校へ行く勇気や理由が見つかればいいなと思います。

ピックアップ

大学講師は世知辛い。問題児クラスは未知の魔法を秘めた天才集団でした。

  • ★★★ Excellent!!!

 世界で唯一の蘇生魔法の使い手としてエリート魔法師団に在籍しながら、とある任務で魔法を失い、魔法大学の講師に転職した少女リディア。

 問題児が集められた特別授業を受け持つことになった彼女が、生意気な年上男子たちの指導に苦慮しながら魔法の真理へと迫っていくストーリーが興味深いです。

 転職して痛感した大学教育の現場は世間の常識とかけ離れた理不尽とパワハラが横行する世界で、面倒な雑事はすべてリディア任せ、自分の研究や講演会を優先して、まったく生徒たちと向き合おうとしない教授たちに腹が立ちます。

 そんな教授陣に失望していた生徒たちも、熱心に指導するリディアには次第に心を許していきます。

 どんなに辛くとも投げ出さず、いつも自分を犠牲にして面倒事を引き受け、生徒の可能性を信じて見捨てない。まさに理想の教師ではないでしょうか。こんな先生に学びたかった。

 けれどリディアに構ってほしくて無理に口説いたり、強引に迫ったりしては彼女を困らせる男子生徒たちが、つくづくバカだなぁと笑ってしまいます。

 一見、よくある逆ハーレムですが、現実にもある大学教育の問題に切り込みつつ、世界観も作り込まれた本格派な異世界ファンタジーです。

(「学校へ行こう」4選/文=愛咲優詩)

異国から来た魔法使いと桜の国の大和撫子の妖精奇譚

  • ★★★ Excellent!!!

 文明開化の盛りにある極東の島国・桜華国のお嬢様女学校に通う女学生の美羽と、遠き異国・イングローズから訪れた新任教師アルベルトが繰り広げる不可思議と大正浪漫に彩られた世界観に引き込まれました。

 語学教師として赴任したアルベルトは金髪碧眼の好青年で、たちまち女生徒たちの憧れの王子様になります。

 誰にも優しい紳士のアルベルトですが、西洋式の礼儀作法は奥ゆかしい桜華女子には刺激が強すぎて、ほのかな想いが芽生えていく優等生の美羽の姿が初々しい。

 しかし、教師というのは仮の姿、その正体は祖国から脱走した妖精を保護するために女王陛下の密命をうけてやってきた魔術師で、そのミステリアスな魅力がまた美羽の心をときめかせる。

 妖精が視える体質の美羽の周囲では、妖精たちによる不可思議な騒動が毎回起こって、騒動を乗り越えるたびに距離が近づいていく二人の関係に注目です。

 いたずらするだけの人畜無害な妖精もいれば、ときに人を襲うような凶暴な魔物もいる。騒動に巻きこまれるのは危険も多いが、それでも恋と幻想にあふれる学園生活がドキドキ、ワクワクで飽きさせません。

(「学校へ行こう」4選/文=愛咲優詩)

生徒のお悩みを解決します。俺たちゼロ組は間違ってないやつの味方

  • ★★★ Excellent!!!

 私立の小学校に通う小学六年生の小松小夜子は、高身長を理由に男子からいじめに遭い、それがきっかけで問題児が集められたゼロ組へと編入されてしまう。

 しかし、ゼロ組に集められた生徒たちは独自の正義感を持つ生徒ばかりで、学校内の間違った風潮を正していく展開に胸が躍ります。

 お金持ちが多い私立校なだけあってワガママな生徒が多く、教師もいじめっ子を処罰するどころか被害者を隔離してしまう隠蔽体質でまったく信頼できない。そこで困っている人のために毎回立ち上がるゼロ組の面々が実に頼もしい。

 弁が立って行動力のあるリーダーのリーチ。手先が器用で運動神経もいい美少年のザクロ。記憶力抜群で気配り上手な秀才のたすく。

 本来、大人しくて家庭的な小夜子も含め、本人に非はないにも関わらず、大人の都合で不良のレッテルを貼られてしまっただけで、みんな他人思いの良い子ばかりで好感が持てます。

 集団から弾かれた変わり者であっても、それを恥じることなく自分たちが正しいと思ったことを貫く。大人でもなかなかできることじゃない。さらに問題解決のためにみせる子供とは思えない思考力や洞察力にひたすら感心するばかりです。

 現実にもゼロ組のような受け皿があれば、集団に馴染めない今の子供たちも楽になるのにと思わずにいられません。

(「学校へ行こう」4選/文=愛咲優詩)

英語は世界を広げる魔法。日本へようこそシャーロット

  • ★★★ Excellent!!!

 目立つことが嫌いな男子高校生・麻生陽。どこにでもいる平凡な少年だが、彼の唯一の特技は「英語」が話せること。

 日本で暮らしているにはあまり意味のない特技ですが、高校の同じクラスにアメリカ人の美少女シャーロットが入学してきて、英会話が日常を特別なものに変えていくハイスクールライフが素敵でした。

 周囲から浮くのを気にして英語が話せることを隠していた陽ですが、日本語に困っているシャーロットに救いの手を差し伸べたことから、彼女の通訳として周囲の仲立ちを務めるようになり、一緒にクラスメイトと交流の輪を広げていく姿が微笑ましい。

 最初は言葉の壁に躓いていたシャーロットも、友達ができていくにつれて次第にアメリカ人らしい積極性を発揮して陽を引っ張っていくフレンドリーな活発さが魅力です。

 作中で使われる英会話には和訳がついていますし、詳しい英語解説も挿入されているので英語だから読めないということはありません。

 なんのために学校へ行くのか、なんのために勉強をするのか。学生なら誰もが一度は考えるであろう疑問に答えが出ました。

 外国人の可愛い女の子と仲良くなるためだよ!

(「学校へ行こう」4選/文=愛咲優詩)