レビュー作品を選ぶときは、いくつもの目線を持つようにしています。男女別はもちろん、中学生、高校生、大学生、社会人と、年齢ごとに好む作風は違いますし、あるジャンルの初心者もいればマニアもいる。そういう十人十色の読者の目線を考えています。皆さんの好みにあっているのか、答え合わせをすると怖くなりますが、もし「この作品が好きだ」と思っていただけたなら、星を付けたり、作品に感想を送ってあげてください。作者でもないのに感想欄を読んでニヤニヤしている変な人を見たら多分、私です。

ピックアップ

教師と教え子の禁断の愛!? いいえ、健全な指導です

  • ★★★ Excellent!!!

家庭教師のバイトを始めて一年あまりの主人公が担当する教え子は、何故か可愛い女子中学生ばかり。

巨乳お嬢様に振り回されたり、反抗期の妹の世話を焼いたり、人見知り少女に懐かれたり、授業中は誘惑の嵐でいつもたじたじ。いくつ年の差があっても女の子に男は勝てないものだ。

ありふれた年の差ラブコメのように思えるが、本当のところのテーマは勉強だ。

苦手科目で詰まっている生徒の壁を察し、相手の興味を引き出して勉強の楽しさを伝えていく主人公の教え方が実に周到で思わず唸らされる。

最初から頭のいい人間では思いつかないような勉強方法や、問題文の読み解き方は、現実でも役立つのではないだろうか。

教育に熱心で生徒ひとりひとりに親身に向き合う、そんな優しさにヒロインたちも惹かれるのだろう。

「家庭教師と教え子」というと、いかにもお約束なご都合主義に思えるが、この主人公なら好きになっても仕方がないなと思えてくるだろう。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)

科学と魔術の国家の命運は、一人の少女の手に委ねられた

  • ★★★ Excellent!!!

時空を超えて邂逅した魔導連合ヴィストニアと黎明国ファルデン。

まったく未知の文明同士が出会えば、当然のことながら言葉は通じないし、外交の常識や慣例だって違うから、衝突や軋轢が生まれてもおかしくない。

そんな問題を解決するのが、動物とも会話する唯一無二の「翻訳魔法」を使う主人公アニラだ。天才少女と讃えられながら怠けて落ちぶれた能天気ガールが、史上初の異世界外交で大活躍する。

大使団として摩天楼がそびえる階層都市ファルデンを訪れ、先進的な服飾文化やラジオから流れる音楽、街中にあふれる美食に触れて、驚きと興奮の尽きない異文化交流が微笑ましい。

ヴィストニアの魔導士は政治家というよりも研究者で、国家代表である大人たちも未知の科学技術を前に知的好奇心をたぎらせて始終ハイテンションなのがおかしい。

しかしファルデンの政治家たちは甘くない。お互いの国にとって重要人物となったアニラを引き抜こうと策略を仕掛けてくる。国益をかけた外交という知略戦争を秘めた知性で切り抜けていくアニラの姿が痛快なのだ。

異世界外交は始まったばかり。彼らが選ぶ未来は、和解か、戦争か。すべては一人の少女に手に委ねられた。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)

エロゲーで始まる僕と彼女の特別な関係

  • ★★★ Excellent!!!

エロゲーといえばオタク文化の代表格だが、今では泣けて感動するストーリー重視の作品も数多く、女性ファンがいてもおかしくない時代だ。

かといって、えっちなゲームを購入しているのを周囲に知られると恥ずかしいのは、男も女も変わらないだろう。

学園一の美少女・糸原冴姫がエロゲーを手にする衝撃の現場を目撃し、「黙っててくれるなら、私を好きにしていいから!」と懇願された平凡オタク男子・佐々木義人が、彼女に求めたのが「勉強を教えてください」という健全極まりないもので、そこから始まる二人のやりとりが初々しくて身悶える。

慣れない女の子とのメッセージアプリの交流に一喜一憂する義人が滑稽で、まさに等身大の非モテ男子の姿で笑ってしまう。

一方、同じ趣味の話題で盛り上がれる友達を求めていた冴姫は、表面はクールに毒舌を吐きつつも本当の自分をさらけ出せる義人との秘密の関係に内心で胸を躍らせている姿が可憐でいじらしい。

急速に関係を深めていく二人だが、家族や同級生から関係を怪しまれて、果たして秘密を隠し通せるのか……。これからの二人に注目が集まる。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)

ゲーム音楽を愛しゲーム音楽に全てを捧げる人たちへ

  • ★★★ Excellent!!!

大学に入学した白井健が軽音楽サークルで出会った月無めぐる先輩は、筋金入りのゲーム音楽マニアだった。そして彼と美人先輩とのゲーム音楽を巡る大学生活が始まる。

ゲームにおいてBGMは主役ではない。けれども欠かすことの出来ない名脇役だ。

ゲームの中に広がる壮大な世界を旅するときも、大好きなキャラクターの出会いと別れのときも、強敵との決戦に向かうときも、いつもゲーム音楽はプレイヤーとともにある。

ヒロインの月無先輩は、そんなゲーム音楽に魅せられた一人だ。ゲーム音楽を聞くのも自分で弾くのも好き。ゲーム音楽の話題を振れば、嬉々として語り続ける。自分の大好きなものに一途な彼女のそんなところが素敵なのだ。

作中に登場する曲はすべて実在するゲームの名曲だ。プレイ経験のある人ならタイトルは知らずとも「ああ、あの場面の曲ね」と耳が覚えているだろう。

二人の会話はゲーム音楽のことばかり。J-POPやクラシックなどのメジャー音楽にはない、ゲーム音楽だけの魅力にあらためて気づかされる。

皆さんも二人と一緒にゲーム音楽に想いを巡らせてみてはいかがだろうか。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)