科学と魔術の国家の命運は、一人の少女の手に委ねられた

時空を超えて邂逅した魔導連合ヴィストニアと黎明国ファルデン。

まったく未知の文明同士が出会えば、当然のことながら言葉は通じないし、外交の常識や慣例だって違うから、衝突や軋轢が生まれてもおかしくない。

そんな問題を解決するのが、動物とも会話する唯一無二の「翻訳魔法」を使う主人公アニラだ。天才少女と讃えられながら怠けて落ちぶれた能天気ガールが、史上初の異世界外交で大活躍する。

大使団として摩天楼がそびえる階層都市ファルデンを訪れ、先進的な服飾文化やラジオから流れる音楽、街中にあふれる美食に触れて、驚きと興奮の尽きない異文化交流が微笑ましい。

ヴィストニアの魔導士は政治家というよりも研究者で、国家代表である大人たちも未知の科学技術を前に知的好奇心をたぎらせて始終ハイテンションなのがおかしい。

しかしファルデンの政治家たちは甘くない。お互いの国にとって重要人物となったアニラを引き抜こうと策略を仕掛けてくる。国益をかけた外交という知略戦争を秘めた知性で切り抜けていくアニラの姿が痛快なのだ。

異世界外交は始まったばかり。彼らが選ぶ未来は、和解か、戦争か。すべては一人の少女に手に委ねられた。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)

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