今回は新作レビューということで、ネタに目の止まった3作品をご紹介させていただきます!
こうして見ますと、フレッシュなものから緻密なものまでバラエティ感がありますね。そしてなにより、どの作品にもその一作ならではの切り口があってすばらしい! いつもは新人賞というものを通して作品に接する私ですが、こうして創作という世界の幅の広さ、そして書き手のみなさまの創意の熱を実感できるのは、一読者として、レビュアーとして、実に感慨深いものです。この感慨、読み手のみなさまに届きますようにー!!
ちなみに今回ご紹介が3本に留まったのは、ご紹介させていただく予定だった歴史系の作品がコンテストに臨まれることになったのです。ぜひいい結果を出して、私に「小生の目に狂いはなかった!」と大きな顔をさせていただければと思います!

ピックアップ

少女が胸に秘めるは復讐の誓い――!

  • ★★★ Excellent!!!

4人の王によって統治される、有翼人住まう天空世界。そこに住まう者は固有名を持たず、平等に生きることを課せられているが、唯一の例外として、各王にのみ忠誠を捧げることを許された従者、指防人(ゆびさきもり)がいた。

という世界観で語られるこの物語、テーマは死んだ姉に代わって新しい指防人となる主人公、“小森の雀”の復讐劇になりますが、文章運びがやわらかく、“雀”さんが基本的にほんわりしていることもあって、さらさらと読み進められるのが特徴的ですね。

私もけっこう長いこといろいろな方の作品を読ませていただいてるわけですが、著者さんが物語を書くことを楽しんでるなーと感じられる作品は意外に少ないものです。
物語の行方はもちろん気になるのですが、創作の楽しみや試みというものを体感させてくれることがなによりの魅力です。

読んでいると“雀”さんだけじゃなく、著者さんも応援したくなる新鮮さがいっぱい詰まった作品です。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)

うんこの真理を巡る、苦みばしったシュールストーリー

  • ★★★ Excellent!!!

ジャンルが現代ドラマになってますが、ホラーっぽくもあり、現代ファンタジーっぽくもあり、ある意味SF的でもあり……
タグにもありますが、シュールというのがいちばんしっくりくる作品です。

なにせフリも間の展開もオチもちゃんと「うんこ」なので。
これだけ聞いてもピンと来ないでしょうが、プロローグの直後――物語の最初と最後にうんこがあって、その間にすべての物語が詰め込まれてるんです。
主人公の友だちが恋人と別れて、主人公ができたばかりの彼女の家に行って、うんこと遭遇して、友だちが元恋人を殺しちゃって、主人公がうんこの真理へ行き着くという。どうです? 結構きちんと内容を説明しても、わけがわからないでしょう?

と、いうふうに荒唐無稽なようで、きちんと通された筋があるというシュール。
この読後感の悪さに著者さんの計算が色濃く感じられるところがまたなんとも言えません。
ビターな物語が好きな方には迷わずおすすめしたい一作です。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)

さあ、あのときハマったゲームを思い出そうじゃないか!

  • ★★★ Excellent!!!

80年代という「家庭用ゲーム機」が誕生した時代。その黎明期に生まれた著者さんが、これまでプレイしてきたゲームとの思い出を綴ったエッセイです。

現在公開中の4話はコンシューマー、アーケード、スマホ、そしてコンシューマーとバラエティに富んでいますが、著者さんの語る経験のあるある加減が実に辛いのです。
友だちにガセネタつかまされてムダな努力させられるとか、超高難度クソゲーへの思いとか。

その一方で、各話に詰め込まれた考察や論がまた鋭い! 
中でもスマホゲーのガチャのシステムについてのくだり、「その話は冷静に語ってはならぬぅ!」と思われる方、多いのではないでしょうか。

「ゲームと共に育ってきた世代には身につまされる」このエッセイ、だからこその共感と甘い痛みを味わえる希有な内容となっております。
ぜひみなさまにも私と同じ気持ちを共有していただきたく思います!

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)