うんこの真理を巡る、苦みばしったシュールストーリー

ジャンルが現代ドラマになってますが、ホラーっぽくもあり、現代ファンタジーっぽくもあり、ある意味SF的でもあり……
タグにもありますが、シュールというのがいちばんしっくりくる作品です。

なにせフリも間の展開もオチもちゃんと「うんこ」なので。
これだけ聞いてもピンと来ないでしょうが、プロローグの直後――物語の最初と最後にうんこがあって、その間にすべての物語が詰め込まれてるんです。
主人公の友だちが恋人と別れて、主人公ができたばかりの彼女の家に行って、うんこと遭遇して、友だちが元恋人を殺しちゃって、主人公がうんこの真理へ行き着くという。どうです? 結構きちんと内容を説明しても、わけがわからないでしょう?

と、いうふうに荒唐無稽なようで、きちんと通された筋があるというシュール。
この読後感の悪さに著者さんの計算が色濃く感じられるところがまたなんとも言えません。
ビターな物語が好きな方には迷わずおすすめしたい一作です。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)