夏休みは作家デビュー!高校生限定の文学コンテスト再び開催!
410 作品
『武官弁護士エル・ウィン』で第12回ファンタジア長編小説大賞準入選を受賞、2001年に同作品でデビューを果たす。そのほか『伝説の勇者の伝説』『いつか天魔の黒ウサギ』はTVアニメ化されるなど、代表作多数。また、漫画原作をつとめる『終わりのセラフ』もTVアニメにて大ヒット。全作品の書籍類計は1700万部を誇る。
このたびは選考させていただき、ありがとうございます。高校生の書いた小説をまとめてこれほど読める機会というのはあまりないので、勉強になりました。みんながどういうことを考え、どういう環境で生きているのかを、小説を読むことで思い巡らせ、ワクワクできました。特に大賞作と、いくつかの作品は、大きな才能を感じました。僕が感じたその才能が、そのままプロの世界へ衝撃を与えるような形で伸びていってくれたら嬉しいなと思いましたし、そのためのアドバイスをしたいと思ってしまうくらい、伸び伸びと書かれていました。特定の賞への応募とは違う、才能を原石のまま見ることのできるこのカクヨムの賞は、今後とても重要な賞になっていくのではないかと思います。今回受賞されたみなさんのさらなる創作を楽しみにしています。
読売新聞東京本社 活字文化推進会議事務局長
1988年、読売新聞社入社。政治部、経済部などを経て、2017年4月から、読売新聞社が出版関係業界と協力してつくる活字文化推進会議の事務局長。発表者がお気に入りの本を紹介し、参加者が多数決で最も読みたくなった本を決める、書評合戦「ビブリオバトル」の中学生、高校生、大学生の全国大会を主催している。
2年連続で最終選考委員を務めましたが、昨年度よりもパワーアップされた作品ばかりでびっくり。ジャンルも広く、今にもプロデビューできるのではないか、というような方々の作品もありました。選考会では、4人の選考委員が東京・飯田橋のKADOKAWA本社の会議室で本当に頭を悩ませました。気が早いかもしれませんが、今から来年度の作品、楽しみにしています。
キリンビバレッジ株式会社 マーケティング本部マーケティング部 商品担当
2012年キリンビバレッジ入社。量販店の営業担当の経験を経て17年春より現部署に所属。「キリンレモン」「メッツ」など炭酸商品の商品開発・広告開発を担当。
日頃の仕事の中では関わりを持つ機会が少ない小説の審査員を務め、非常に貴重な経験をさせていただきました。高校生の書く作品はバラエティ豊かで作者の特徴が散りばめられており、人となりを想像しながら読みました。
キリンレモン賞ではキリンレモンが90年前の発売以来アイデンティティの一つとして大切にしてきた“透明”をテーマに設定しました。透明の捉え方も人それぞれでとても楽しく勉強させて頂きながら読ませていただきました。今回参加させて頂いたご縁に感謝いたします。ありがとうございました。
KADOKAWA カクヨム編集長
中央公論新社入社後、文芸ジャンルの書籍編集者として勤務。2014年3月筑波大学社会人大学院にてMBA(経営学修士)取得。2016年3月KADOKAWA入社、カクヨム編集部に配属され、2017年2月より現職。
コンテストは2回目が大切です。1回目を超えられるかで、今後の成否が決まるからです。どきどきしながら選考に臨みましたが、心配は杞憂でした。昨年に勝るとも劣らない作品群が、豊かな創作世界に引き込んでくれました。青春のきらめきと才能の輝きを感じ、幸せと苦悩が入り混じる選考会でした。受賞者はもとより全参加者が今後も創作活動を続けられることを強く望んでいます。
どの作品も8千字以上、2万字以下という条件の中で、自分だけの物語を生み出すのだという強い意欲が伝わってきました。描かれた世界はバリエーションに富んでいて、いずれも確かな文章力や構成力によって支えられています。参加者のみなさんの豊かな発想力と想像力が、読み手に鮮やかな印象を伝える部門でした。 河野葉月(カクヨム編集長)
お嬢様育ちの「わたし」は教育意識の高い母親に育てられ、友達もいない世間も知らない内気な女の子でしたが、中学にあがると、母親の束縛は少し緩まってちょっぴり自由が生まれました。そんな中、駅までの道にある神社の手水舎(ちょうずや)で毎日毎日猫と戯れているおじさんに心惹かれます。
ある冬の一日をめぐる、大学の先輩と“名探偵”の女子学生が交わす絶妙の会話劇。第三者もからみ、「謎解き」からラストへ向かう爽快感が最高です。
日江井 俊男(読売新聞東京本社活字文化推進会議 事務局長)
食べると涙が出てしまう面白い設定が生み出す不思議な世界観。わかりやすい物語と描写の端々に“透明”を感じることができました。
脇山 正大(キリンビバレッジ株式会社
マーケティング本部マーケティング部 商品担当)
風景描写が美しく、世界観が伝わってきました。優秀な学生が、そうでない学生と出会って、新たな価値観――勉強だけではない世界に気づき成長していくところが高校生らしかったです。
ホラー小説の定番である「夏」「田舎の家」という舞台装置が効果的に使われています。登場人物の設定やストーリーラインも工夫されていて、読んでいて続きが気になる作品でした。
読み手のことを意識した文章で、どんどん先を読ませる力がありました。設定に引きがあり、謎めいた空気と緊張感で、終盤に至るまで読者を上手に惹きつけています。
視点を変えて話を繋げていくという、構成の工夫がみられる作品です。登場人物の心情も丁寧に描かれていて、読み手にときめきと共感を呼ぶ恋愛小説となっていました。
語りたいテーマが伝わってきて、先を読ませる力がありました。バレエという一般になじみのない世界をわかりやすく描きながら、独特の感性を物語に入れ込むことができています。
高校生のみなさま、多数のご応募ありがとうございました。
「【高校生対象】文学はキミの友達。「カクヨム甲子園2018」【ロングストーリー部門】」の中間選考の結果を発表させていただきます。
多数の力作を投稿してくださった皆様、並びに作品を読んでくださった皆様には、改めて深く御礼申し上げます。
※掲載の並びは作品のコンテストへの応募順となっております
選評
息苦しさを抱える主人公と猫おじさんとの交流が瑞々しく描かれています。物語を感じさせる強いタイトル、情景や感情を的確に紡ぐ文章力、時間軸を操る構成力。いずれも読者を意識していることがわかり、選考委員一同、感嘆し、高く評価しました。