★
0
概要
届かなくていい。それでも、書かずにはいられなかった。
離婚届を出した翌朝、元夫はいつも通りスーツを着て、いつも通り「行ってきます」と言って出ていった。その背中に、朱里は声をかけられなかった。
三十四歳の秋。荷物はトランクひとつ。朱里は名前も知らない海辺の町へ向かい、古い民宿の二階に転がり込んだ。行き先も、期限も、理由も、何も決めずに。
ある夜、灯台へ続く小径の入り口に、青緑に錆びた奇妙なポストを見つける。貼られた白い板には、細い文字でこう書いてあった。
「過去の恋人への手紙、お預かりします」
馬鹿みたい、と思いながら、朱里は膝の上に封筒を乗せて書き始めた。
颯太へ。
言えなかった言葉を、謝れなかった後悔を、渡しそびれた「ありがとう」を。
三十四歳の秋。荷物はトランクひとつ。朱里は名前も知らない海辺の町へ向かい、古い民宿の二階に転がり込んだ。行き先も、期限も、理由も、何も決めずに。
ある夜、灯台へ続く小径の入り口に、青緑に錆びた奇妙なポストを見つける。貼られた白い板には、細い文字でこう書いてあった。
「過去の恋人への手紙、お預かりします」
馬鹿みたい、と思いながら、朱里は膝の上に封筒を乗せて書き始めた。
颯太へ。
言えなかった言葉を、謝れなかった後悔を、渡しそびれた「ありがとう」を。
いつも応援感謝です。
m(_ _*)m
おすすめレビュー
書かれたレビューはまだありません
この小説の魅力を、あなたの言葉で伝えてみませんか?