概要
兄として灯を思いやる哲哉の、拓真に対する複雑な気持ちも織り交ぜ、登場人物それぞれの心がかき乱されて行きます。
そんな春から夏にかけてのほんの短い間の出来事を短編にしてみました。
本作はweb小説でも割合見るテーマであり、もちろん全てフィクションですが、モチーフにしたのは、歌手の村下孝蔵さん(2000年歿)の名曲「少女」(1984年)です。この歌に出て来る「少女」は、実在した村下さんの従妹の女の子で、8歳の時に白血病で亡くなっています。いつ
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!再読必至の恋物語
この作品を読むのは、かれこれもう三度目になる。
読むたびに、心が洗われる、とても美しい作品だと思う。
なかでも第四話の灯の手紙は、圧巻だ。
最初で最後のラブレター。
この手紙が大きく主人公拓真の心をゆさぶり、彼の中の灯への思いを本物の恋へと昇華させる。
夭折した灯の心が、その後の拓真の心の中にたしかな生命、魂となって息づく様子がうかがえる。
ラストはそんな二人に奇跡が起こる。
小さなともしびがジャスミンの香りを伴って、拓真の心にひそやかな思いとなって残り続ける、そんな淡く切ない心情をどうぞ手に取ってみてください。きっとあなたの心にも、小さな灯がともる…続きを読む - ★★★ Excellent!!!甘き藤の香を辿れば
筆者ならではの深い心情描写は、他で望むことが難しいのではと思うほど、真に迫った作品です。
たった八歳で悪性リンパ腫に罹り、小児病棟で長く過ごしてきた灯という少女。
そんな灯の闘病を支え、誰よりも献身的に見守り続けてきた兄、哲哉。そして、従兄弟の拓真は医大生となって、失恋をしたばかりだった。
三者の情愛と戸惑い、あるいは失望が複雑に絡み合う。
苦しくなるほど切ない三人の心情が、ひしひしと胸に押し寄せてきます。
恋に焦がれていた灯には、藤の花がとてもよく似合います。
藤の花には「離れない」という花言葉があるそうですね。
藤の香りに委ねながら、三人の行く末を是非、ご覧ください。 - ★★★ Excellent!!!藤の花の下で紡がれる、あまりに美しく、あまりに儚い恋の記憶
読み終えた後、しばらくの間、静かな余韻から抜け出せませんでした。
病に侵されながらも、従兄の拓真を懸命に想う12歳の少女・灯。彼女の純粋すぎる恋心と、それを見守る周囲の優しさが、藤の花の香りのように鼻腔をくすぐり、胸の奥を締め付けます。
何より素晴らしいのは、その透明感のある文章です。
情景描写のひとつひとつが洗練されており、目の前に淡い紫色の藤棚が広がるような錯覚を覚えました。死という重いテーマを扱いながらも、物語全体を包み込むのは、濁りのない清澄な空気感です。
美しく、そして儚い。
この物語が持つ輝きは、読み手の心に深く、いつまでも残り続けることでしょう。 - ★★★ Excellent!!!Omnia Vincit Amor
余命僅かな少女と、医大に合格した青年を巡る物語。少女は青年に恋心を持っていたが、青年は少女を家族や親戚として大切に思っていた。しかし、少女にはもう未来がない。そこで彼はどうするべきなのか、そしてその選択の果てに、彼が得たもの、失ったものは何か。それを巡る物語。
病気を巡る話なので、苦手に思ってしまう方もいるかもしれないが、主軸は恋愛に近く、病気に関するシーンもくどくなく、かなり読みやすい作品となっている。切ない恋愛を楽しみたい方にもおすすめ。
また、実在の地名など多く登場しているので、近隣にお住まいの方や住んでいたことのある方はより身近な話に感じられるかもしれない。