概要
第72回「2000文字以内でお題に挑戦!」企画に参加
https://kakuyomu.jp/user_events/822139844862454005
クリスマス目前、雪の舞う街に降り立った主人公は、停車場でマッチを売る無愛想な青年と出会う。
「妹を待ってるんです」
青年が語るのは、春風のように笑う優しい妹の話。
路面電車が運んでくるはずの彼女を、青年は今日も待ち続けている――
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!まちびときたらず
完成度が高い。昭和の文学風である。
それが路面電車というレトロ感のあるお題によく合っている。
課題が「路面電車で春を待つ」ならば、幼稚園児が描くようなのどかで明るい光景、通学途上での若者のアオハル、或いは老人の想い出話、だいたいこのあたりが最初に想い浮ぶ。
直截で単純な印象ではあるが、これをこのまま、素直に書くのももちろんありだ。
しかしこの作品は寒々しいのだ。
師走の、しかも夕刻である。
せかせかと襟をかき寄せて帰宅を急ぐ人々と、クリスマス時期特有の街の電飾のあかり、重たく頭上に垂れこめた冬の空と、歳末大売り出しのアドバルンまで見えてくるようなのだ。
そんな街で主人公は…続きを読む - ★★★ Excellent!!!嘘と本当の向こうにあるのは、ただ春風を待つ気持ちひとつ。
出張先の街で「私」は、一人の青年を見た。
彼は路面電車の駅で敷物を敷き、マッチを売っていた。
一度はマッチを断ったが、気になって青年に声をかける。
募金箱を持つご婦人に躊躇せずお金を入れる描写、そして次の瞬間には家族のことを想うことからも、主人公は善良な人なのだろう。
対する青年からは、嘘と本当をない交ぜにして自分自身をはぐらかすような態度が垣間見える。
そんな青年からは人を安易には信用しない人物像が浮かび上がる。
そんな青年と、ただただまっすぐに善良な大人が出会って短い会話を交わす。
ただそれだけであるにも関わらず、とても心を揺さぶられるものがあった。
読みながら青年の嘘と本…続きを読む - ★★★ Excellent!!!マッチ売りの青年と主人公の淡々とした会話に胸を締め付けられました。
ストーリー全体を通じて感情を右に左に揺さぶられてしまいました。実に見事な筆運びです。
雪降る停車場でマッチ売りの青年に出逢った主人公。淡々と会話を重ねるなかで、青年がそこで妹を待ち続けていることを知る――。
「路面電車で春を待つ」というお題に合わせて執筆されたそうですが、全くそうは思えない違和感のなさ。感動掌編として非常に高い完成度を誇っています。
どこか温かくどこか冷たい筆致で綴られる物語は、短い文字数の中で二転三転。静かに明かされたラストにはグッと胸を締め付けられる思いがしました。
2000字という制限字数を余すところなく使いきり、内容も無駄なく引き締まっています。
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