概要
大正ロマンス。華族令嬢と貧しい画家の、二十年の愛
大正十三年、没落華族の娘・大園寺貴子は、成り上がりの実業家との政略結婚のため、母の形見の着物を質に入れる。質屋へ向かう途中、貧しい画学生・佐々木道介と運命的に出会う。
道介に肖像画のモデルを頼まれた貴子は、浅草の寺の離れに通い始める。油絵具の匂いが漂う小さなアトリエで、二人は互いに惹かれ合っていく。だが、貴子には結婚という逃れられない運命が待っていた。
最後の別れの日、貴子は自らの髪を切り落とす。その姿を描いた道介の「別れ」は帝展で大賞を獲得し、彼はパリへ旅立つ。貴子は桑本家の妻として、鎌倉で十年を過ごす。
十年後、パリから凱旋した道介の個展で、二人は再会する。「十年待ったら、一緒に逃げてくれますか」という道介。そして、さらに十年……
道介に肖像画のモデルを頼まれた貴子は、浅草の寺の離れに通い始める。油絵具の匂いが漂う小さなアトリエで、二人は互いに惹かれ合っていく。だが、貴子には結婚という逃れられない運命が待っていた。
最後の別れの日、貴子は自らの髪を切り落とす。その姿を描いた道介の「別れ」は帝展で大賞を獲得し、彼はパリへ旅立つ。貴子は桑本家の妻として、鎌倉で十年を過ごす。
十年後、パリから凱旋した道介の個展で、二人は再会する。「十年待ったら、一緒に逃げてくれますか」という道介。そして、さらに十年……
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!青いおはじき
大正時代の東京、描かれる風俗に心ときめく。
モダンと江戸の名残りの中にあるそこは、西洋建築と日本家屋が混じり合い、東京湾では鉄の船と帆掛け船がすれ違う。土筆のようなビルヂング。空はまだまだ広く、大きく、頭の上にひらけている。
桐箪笥から引き出した着物や帯から、すうと漂う、樟脳の匂い。
寺の離れの狭い和室で、画家の卵は西洋絵画を描き、ダージリンの茶を淹れる。
元華族のヒロインは恋も知らぬまますでに身売りのような結婚を控えており、気鬱を抱えて、質屋に向かう。
巴里に行って美術を学びたい。
まだ画壇に認められないうちから、青年は熱い夢を抱いている。
時代は藤田嗣治が巴里にアトリエ…続きを読む