自警団vs俺?
遊び人
忘れ物
「あ、忘れ物 ごめん俺戻るわ」
下校路で思い出し、俺は学校に戻ることになった
「レン、取りに行かんほうがいいよ
まぁでも気をつけな」
その言葉の意味が今は分からなかったが
聞き返そうと思った時にはもう
学校へ向け駆け出していた。
校門から入り
教室へ向かおうとした時
「一応、職員室行こうかな」
先生に伝えたほうがいいはずだ
職員室の方からは声が聞こえる
声の大きさが盛況を作り
放課後の学校の意外さに驚いたが
途端に思い出した
「先生はもう帰っているはずだ」
その違和感が体を疼いた
すると
「あれ、君知らないの?」
耳元で囁かれた
「え、陽菜ちゃん?」
「なんで、私の名前知ってるの?」
まずい、クラスは違う
学校のマドンナである陽菜は
一方的ではあるが
男子は全員知っている
「先生は労働法によって放課後はもう定時
みんな帰ってるのこの声は」
少しの間が空き
緊張感が若干走ると
「自警団よ」
陽菜が説明をしてくれた
放課後に学校に戻った人を無理やり正当化し
武器で襲ってくるのだ
「俺、教室に忘れ物があるんだ」
「そうだと思った、一緒に行こう
それと名前は?」
「レンだよ」
「レン君行こう」
普段の学校では絶対にありえない事だ
こんな幸せな事が
今日忘れ物をして良かった
教室まで陽菜はずっと話してくれた
その時は自警団の存在は忘れていた
「私、ここで戻るね
レン君気をつけてね」
忘れ物の教科書を取ると
陽菜はそう言い走って出ていってしまった。
俺は窓をチラリと見た
外からも大声が聞こえる
校門には出口を封鎖するかのように
生徒達がたまっている
手元にはバットを持っている
「これが、自警団か」
校門からは出られないことが確定したみたいだ
駐車場にいるのは
先生の車ではなく代わりに生徒達が占拠している
すると駐車場の入口から
いかにもリーダー格のような姿の大男が歩いてきた、一同は一斉に大男に集まり
満足そうな顔で学校へ侵入を開始するのだった
「あいつが、自警団の署長かもな」
俺は皮肉混じりに彼をそう名付けた
脱出を図ろうにもこのタイミングでは
自警団が学校の中にいるが
教室は時計の針の音で一帯の静寂を伝えていた
「出よう、」
覚悟を決め、教室横の廊下を飛び出し
上靴を脱ぎ忍者のように足音を立てずに
階段へ向かう
小刻みに階段を駆け抜けていくと
何か地面を擦り減る音が聞こえ
咄嗟に横にあった
教室へ隠れた
「このバット野球部から奪ってきたんだよ」
「結局野球部もトロいな」
「じゃあ、入るか」
「おーい、みんなこの教室で集まるぞ」
乱雑に扉を開け
自警団数名が教室へ入っていく
箒の穂が俺の足に絡み
絶妙にムズムズする
ロッカーに隠れたのはいい判断だったが
まさか教室へ入ってくるとは
密閉空間や近年の暑さが重なり
体がどんどん蝕まれる
しかしバレるよりはマシだ
静まったタイミングを見計らっていると
「〇〇さんが入られる
みんな出て挨拶を!」
「はい!!」
一同が椅子から立ち上がる音が聞こえ
足音がズタズタ聞こえたタイミングで
俺はロッカーの扉を体を突進させ開けた
予想外にも大きな音が鳴り
廊下に出ていた自警団らしき一向に目が合ってしまった
俺は顔だけお辞儀をし
全力で反対方向へ駆け出した
振り向かずに走る
後ろの扉から音が聞こえる
別の教室だ
俺のダッシュに並行して
「君、凄いね自警団の本部に潜伏するなんて」
「え、あれ本部だったの?」
「なんてバカな、ついてきて」
「てか、お前は?」
「生徒がより良く過ごせるためにいる」
「生徒会かよ、なんで自警団に対処を・・・」
「それは後でね一旦逃走を」
その言葉に俺は後ろを振り向く
恐らく手下であろう数名が追ってくる
しかし
追いつかれることはないだろう
学校の隅にある
一向に修復されない生徒会室に
招待された
「遅れて済まない、僕の名前は幸太郎だよ」
「あーやはり生徒会の俺はレン」
「レン君だね
簡単に説明すると今の生徒会は名前だけ
自警団とは生徒会メンバーが安全に家に帰れる条件のもと生徒会は自警団に従う」
「そんな、生徒会でいいの?みんな放課後学校に残れないんだよあいつらのせいで」
「正論は暴力の前では勝てないんだよ
あんな自警団の危なさを知ったら
みんなひれ伏すよただ一人以外ね」
幸太郎は答えを待つかのように話す
「幸太郎だね」
「あ、幸太郎話は変わるんだけど
お前陽菜ちゃんって知ってる?」
「勿論だとも、2組のマドンナ
いや、学校のかな」
「やっぱりみんな知ってるんだ
俺あの子と今いい感じなんだよね」
「あ〜〜、なるほどね」
幸太郎は何か分かっていそうな表情で頬を擦る
「それで、自警団にいるあの大男は誰?」
「あ〜〜、確か潤君だね」
「あいつが、リーダーは?」
「まぁそうなるね」
今初めて潤という名前を知ったが
名前で呼びたくなくこれからも署長と呼ぼう
「でも、幸太郎って生徒会メンバーって
自警団にバレてるから
あいつらここに来るんじゃないの?」
「時間との勝負ってことだな」
そう言って
幸太郎は生徒会室の棚を漁り
そこで過去に文化祭や企画などでも使用した
小道具を集めている
「え、戦うの?」
「まぁそうなるが逃げるか?」
「逃げ……いや」
逃げると言おうとした途端に
陽菜の姿が思い出す
幸太郎だけでは
瞬く間に壊滅し
自警団の思う壺になる
そこで陽菜だけが残ると……
俺は陽菜を守る
そして……
「で、逃げるのか?」
「いや、幸太郎についていくよ」
幸太郎は笑顔で頷き
俺は棚にある使えそうなものを探した
遠くから大きな足音が聞こえた
「来たぞ、レン君自警団だ」
「分かった」
窓から見えた
自警団はバットを持ち大勢の軍勢がこちらに向かってきている
「レン君はそこに隠れて」
「僕はあいつらを誘導する」
俺は人一人が入る隙間に隠れる
幸太郎は階段の下に立ち
自警団を待つ
大きな足音が次第に小走りにかわり
こちらへ近づきいよいよ
幸太郎がいる階段の前で
自警団一団は幸太郎を見下ろす
「あれ、一人ですか?もう一人はビビって帰ったか」
自警団の一人が嘲笑すると
一同大勢も大きく笑う
「来いよ、お前ら自警団の自由にはさせない
生徒会の抵抗だ」
「生徒会は一人だけだったかな?」
「来い、後悔するなら帰っていいぞ」
幸太郎は挑発には応じず
逆に煽り返している
相当恨みが溜まっているのか
「潤さん、あいつどうしますか」
署長はいよいよかと言った面持ちで
前に現れる
「幸太郎君よ、今日は少し怪我をするかもな
お前達、行け」
署長の声を合図に
一切に自警団は階段を下りる
「今だ、レン!」
幸太郎の覚悟のともった声を合図に
大きなカゴに入れたカラーボールを
折りたたみテーブルの隙間から
大胆に流し込んだ
大量のカラーボールが激流のように
階段を流れ
下る最中の自警団達は足を取られ姿勢を崩す
しかしボールが効いたのはほんの一瞬で
数が物を言わす自警団に
幸太郎は追い込まれ
その姿を見て飛び出した俺も
容易く自警団に捕まってしまった
俺達は捕らえられてしまった
「あれ、見たことない奴いますよ潤さん」
「ほんとだな、2人一緒に行けるな」
その声を合図にバットの音や床を擦る音が次第に大きくなり
「すまんな、レン君巻き込んで」
「いや、大丈夫だ、幸太郎、一人より二人の方が安心だろ」
俺達は目を閉じ
静かに覚悟した
奥から一人足音が聞こえる
「やめてあげてよ、潤」
あ、この声は陽菜ではないか
助けに来てくれたのか?
いや、潤?
「あ、陽菜ちゃん危ないからここに来ないでよ」
「やめてあげて、あの子レン君って言って
忘れ物取りに来たんだよ
幸太郎君も生徒会なりの意地があるんだよ
だから見逃してあげて」
「おい、お前ら立ち上がれ」
俺達は立ち上がり
署長と隣にいる陽菜を見つめた
「レン君、ごめんね
私の彼氏の潤がこんな事をして怪我してない?」
「陽菜ちゃんの彼氏・・・?
いや、あー大丈夫、助けてくれてありがとう!」
「もう、今回は見逃す次こそは知らんからな」
幸太郎と俺は
二人で学校を出た
「幸太郎、お前知ってたの?」
「何を?陽菜ちゃんとあいつ」
「あ〜知ってるよ付き合ってたのは」
「なんで言わなかったの?」
「だって、それはあの時いるって言ったらレン君拗ねて帰りそうじゃん
一人より二人の方が安心だからね」
自警団vs俺? 遊び人 @asobibinin
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