概要
――雪深い大陸、イース。
山岳交易路で〈背運び〉をして生きる少年・リセルは、
誰とも関わらないと決めていた。
関わらなければ、また何かを奪われることもない。
ただ、かつて交わした約束だけを胸に。
そんな彼の前に、
雪の中で倒れていた少女が現れる。
少女は追われていた。
そして、リセルの中にもまた、恐れられる「炎」が眠っていた。
この出会いが、すべての始まりだった。
――これは、英雄譚ではない。
喪失の先で、それでも手を伸ばしてしまった人間の物語。
最初から、答えはそこにあった。
※一章〜四章(第一幕)完
4月7日(火)より新章・五章公開(週3回 火・木・土)
※AI補助利用について
校正や設定の整合性チェックなどに使用しています。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!降り積もる雪を静かに眺めるような、寂しくも温かい読書体験。
「俺は、もう誰とも関わらない」
そう決めていた少年の凍った心を溶かしたのは、無意識に自分の服の裾を掴んだ少女の、震える指先でした。
主人公リセルとエリシアの二人がお互いを思いやり、少しずつ歩幅を合わせていく姿はとても尊く、不器用な優しさに読んでいて温かい気持ちになります。
特筆すべきは、その「質感」の描写です。
私は物語全体を包み込む「ブルーフィルターがかかったような質感」の美しさに、深く感じ入りました。
肩に食い込む荷の重さ、泥水の冷たさ、そして焚き火が爆ぜる音。
厳しい自然の中で生きる人々の息遣いが丁寧に描かれているからこそ、二人が分け合うわずかな火の温もりが、読者の心にもじわりと…続きを読む - ★★★ Excellent!!!少女と少年の逃避行——美しさと残酷さが交差するファンタジー
白金の髪の少女を追う黒い鎧。
少女と逃げることになった少年。雪に散る赤い血。何かの影。
――美しさと残酷さが同居する、逃避行から始まるファンタジー。
無事に逃げられるのか。
そして、この少年は何を背負っているのか。
物語を追ううちに見えてくるのは、孤独になりきれない危うさを抱えた少年の心のうち。
追われる少女の秘密、そして彼自身の出自の謎という二つの軸が、先を読みたいと思う気持ちをぐっと強くします。
途中、捕らえられる展開もあり、緊張感が途切れません。
文字による映像的な美しさに加え、肌を刺すような不穏な空気、ある力を行使する時の温度や光、登場人物たちの歩んできた…続きを読む - ★★★ Excellent!!!❄️ 凍てつく世界で、二つの孤独が重なる。
「もう誰とも関わらない」と孤独を選んだ少年リセルと、冷たい聖堂に囚われていた少女エリシア。
なんとか檻を脱した彼女を待っていたのは、全てを白く塗りつぶす、凍てつくような雪景色でした。そして、ついに力尽き倒れてしまった彼女。
リセルが自らの掟を破り、その細い腕を掴んだ瞬間。二人の運命が、交わり始める。
背後に迫るのは、法を超えて人を裁く「黒聖」。そして、王の剣ヴァルデン。
運命に追い詰められ、共に崖下へと消える二人。
――そんな緊張感溢れる2章まで、一気に読み進めました。
この物語の魅力はストーリーだけではなく、その鮮明な舞台に、リセルの繊細で濃厚な心理描写が重なっていく部分にあると思…続きを読む