静まり返った店内に響くBGMと雨の音。どこにでもあるコンビニの風景が、一人の「先輩」の告白によって変質していく過程が実に見事です。小学生のような容姿を持ちながら、時折見せる大人びた色気。そんな万波さんが語る「吸血鬼の血の薄まり」と「歪み」の話は、冗談の皮を被ったあまりに切実な遺言でした。日常の中に潜む異界の気配を、レジ袋のチラシや踏み台のコンテナといった生活感あふれる小道具で際立たせる筆致に引き込まれます。
コンビニエンスストアの深夜帯。お客の来ない静かな空間で、アルバイト同士の会話が続きます。一瞬ホラーかと思いましたが、そういうわけではありません。読了後に残るのは切なさ。そして、『彼』を思う、語り手の気持ち。その気持ちの種類がどういうものなのか、また、語り手の性別も含め、読者に委ねられています。時々読み返したくなるお話でした。
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