概要
父の歪んだ香への執着と王都の思惑に追い詰められた少女を、冷徹王太子がその檻から奪い出す。
これは、ひとりの少女の救済だけではなく、香と聖女制度によって人の価値が定められる王国で、王家・神殿・香塔・貴族家門がそれぞれの理をぶつけ合う群像劇。
その庇護の中で、セラフィナは自分を取り戻し、未来を選び取っていく。
希少な香を持つセラフィナは、その純粋さゆえに、歪んだ所有と王都の思惑の呪縛に囚われていた。
逃げ場のない夜、彼女を王都から連れ出したのは、冷徹と恐れられる王太子アルディス。
自らの立場を危うくしてまで彼女を辺境の砦へ匿った彼は、「望まない限り、越えない」と誓い、決して無理には触れない。
その冷たい自制の奥には、
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!文章は香りによって美しさをまとう
希少な香を持つ主人公セラフィナをめぐる物語は、父や双子の姉など様々な人物を通じて揺れ動いていきます。
開いてもらえばすぐにわかるとおり、真っ先に目を引くのは、研ぎ澄まされた美しい言葉の数々。
ああ、文章に惚れるとはこのようなことなのだな、と読みながら心が踊る自身に気づきました。
さらには素敵な文体のみならず、作者様がキャラクター造形に決して少なくない時間を費やしたことが明確にわかります。
確かな筋立てで構成された物語は、孤独や嫉妬、確執、陰謀などの様々な感情が、細やかな筆致によって無駄なく最小限、かつダイナミックに描かれています。
たとえば個人的に強く惹かれた「星禊」の回においても…続きを読む - ★★★ Excellent!!!囚われていた少女にやがて光がさす。一語。一文。全てに美しさが宿る作品。
人が各々固有に持つ香りを扱った作品。
全てが美しい。先ずはこの一言。
何が美しいかというと、作者様が綴られる、一語一句、一文、文章そのもの、どれもが、とても美しくしいのです。
主人公セラフィナの周りには、真っ直ぐな優しさを湛える人から、一筋縄ではいかない狂気を抱えた人々など、多くの個性的な人が登場し、様々な人間模様が描かれます。
短い一文の中に、人のその複雑な感情や心理が、ぎゅっと詰まっていて、どの文も大切に読みたくなります。
芳しい香りを持ちながらも、孤独なセラフィナと、その香りに妄執し、セラフィナを囚えようとする者。
そこから解き放ち、セラフィナに暖かな光を届けようとする王太子…続きを読む - ★★★ Excellent!!!香で紡がれる感情が美しい物語
静かな緊張と、香りで描かれる感情がとても印象的な作品です。
この世界では「香」がただの装飾ではなく、感情や関係性そのものとして機能していて、場面ごとに空気が変わるのが面白いです。
特に今回の王太子の場面は、表では冷静に振る舞いながら、内側にある苛立ちや違和感がじわりと滲んでいて、とても引き込まれますよ!
また、人物の見方が一筋縄ではないのも魅力だと思います。
特に双子に対する視線も、単なる興味ではなく「違い」や「揺れ」を捉えていて印象深かったですし、個人的にこの部分すごく好きでした。
言葉選びや空気の作り方がとても丁寧で、静かな場面でもしっかり読ませる力のある作品だと感じました。
こ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!香を感じるような描写で描かれた宮廷ファンタジー
この物語の主人公、セラフィナは聖女になることを目指し神殿に入った所から物語が始まります。
セラフィナを自分の元へと取り戻そうとする父親のことを気にしながら、
セラフィナは他の聖女候補たちと共に神殿で聖女を目指す…。というのが基本のストーリーです。
セラフィナは人を惹きつける。もしくは惑わしてしまうほどの魅力的な香を持っていることが
ストーリーの序盤からいろんなシーンで示唆されるのですが、
その香の描写がとても繊細に描かれていて、ロマンティック……、と表現するには足りないような艶のようなものを感じる文章が本作の魅力の一つだと思います。
序章は聖女を選ぶ儀式とセラフィナと王太子アルディスの出…続きを読む